マネジメントの第一歩

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レザーブレード

レザーブレード

本体を安く販売し、消耗品を高く販売するビジネスモデル。

 

【ビジネスモデルの内容】

アメリカの発明家キング・キャンプ・ジレットが発明した安全カミソリの事業化にあたりひと工夫します、カミソリ本体を大学や軍隊に寄付し、その替え刃を受注することにより事業を軌道に乗せたのです。1918年の第一次世界大戦の最中、ジレット社はアメリカ政府より兵士用に350万個のカミソリと3500万枚の替え刃を受注します。これによりジレット社は、世界最大のカミソリメーカーとなりました。

 

【ビジネスモデルの根幹】

まず本体を安く売ることで大量の顧客を集めます。本体を使い続けるには消耗品を交換する必要が生じます。消耗品は少々高くても買わざるを得ません。安い本体を所持してもらうことで、顧客を囲い込むことが可能になっているのです。

つまりこのビジネスモデルの根幹は、「購買への障壁除去」と「顧客の囲い込み」と言えます。

 

【応用例】

このビジネスモデルは多くの企業が採用しています。主にBtoCでの採用が多くなっていますが、BtoBでも採用することは可能だと思われます。

以下に主な採用例を紹介します。

パラフィンランプ

このビジネスモデルはジレット社の取り組みで有名になったことから、「レザーブレード(Rezor and Blade)」の名称で紹介されていますが、それ以前から存在していたビジネスモデルです。

すでに19世紀にジョン・ロックフェラーのスタンダード石油が中国で安価なパラフィンランプの販売を始めています。ランプを安く売って普及させ、本来の商品である灯油で大儲けしてロックフェラーは大金持ちとなりました。

 

 ②プリンターとインク

プリンターメーカーは、プリンター本体の価格を低く抑え、消耗品であるインクの販売で儲けています。ヒューレット・パッカードが世界初の民生用インクジェットプリンター「ThinkJet」に採用したのが始まりであり、今ではほとんどのプリンターメーカーが採用しているビジネスモデルです。

 

③携帯電話

 一時期、一定期間の通話契約を前提に携帯電話をタダ同然で販売していました。携帯電話という本体を安くして、その後の通話料で稼ぐ方法です。

 

【問題点】

かつてはジレット、最近ではプリンターで有名なビジネスモデルですが、以下のような問題点もあります。実施するにはこれらの問題点への対応策を講じておく必要があります。

①安価な消耗品ビジネスの登場

消耗品ならばこそ、少しでも安く購入したいと思うのは消費者として当然の心理でしょう。そのようなニーズに応えるため、再生品や代替品を安く提供する会社も現れています。実際に純正品のインクは高いので、再生品の安いインクで代用している方は多いと思われます。従って最近では再生品をプリンターにセットすると、メンテナンスが出来なくなる等の表示がディスプレイに出てくるようになっています。

 

②本体の消耗品化

プリンターの場合、廃インクパッドなどの不具合で印刷ができなくなるトラブルでは、メーカーへ修理に出す必要が生じます。しかし、メーカーに送って修理するには、10日以上の修理期間中に文書の印刷ができず、また相応の修理費用が掛かってきます。ならば安い本体を買い替えてしまう、という消費者もいるでしょう。

その場合、同じメーカーの本体を買ってくれればともかく、手持ちのインクが使えなければ他のメーカーの本体を買うこともあるかと思います。プリンターメーカーのインクの型番が多いため、同じメーカーのプリンターでも本体の型番が違えばインクの使いまわしができないことが多いです。

もはや本体そのものが消耗品となってしまっています。

レザーブレードは本体を使い続けることが前提ですので、本体自体が消耗品となってしまっては、このビジネスモデルは破綻してしまいます。