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中小企業の海外進出

中小企業の海外進出

2020年版中小企業白書では、中小企業の海外進出を分析するにあたり、中小企業に期待される役割・機能を4つに分けています。

①グローバル型(グローバル展開をする企業)

サプライチェーン型(サプライチェーンでの中核ポジションを確保する企業)

地域資源型(地域資源の活用等により立地地域外でも活動する企業)

④生活インフラ関連型(地域の生活・コミュニティを下支えする企業)

その上で各類型ごとに海外市場への販売の有無を調査しています。

 

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4類型では当然のことながらグローバル型が一番海外市場への販売が多い。

しかし、それでも48.6%と半分以下です。まだ半分以上の企業が海外市場に販売していません。

 

次はグローバル型の企業における競争戦略の分類です。

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製造業、非製造業共に海外市場へ販売していない企業よりも、海外市場に販売している企業の方が差別化集中戦略を採用している割合が高くなっています。

一方、差別化戦略は製造業、非製造業共に、海外市場へ販売していない企業の方が採用割合が高くなっています。

外市場に販売している企業において、広いターゲットを対象とする差別化戦略よりも特定のターゲットを対象にする差別化集中戦略を多く採用しているということは、国内よりも海外の方がターゲットを絞り込む必要性が高いことがうかがえます。

 

 海外市場へ販売する際、気になるのが模倣されるリスクです。

そのため、特許を始めとする知的財産をどのように保護しているのか確認いたします。

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製造業に着目すると海外市場に販売している企業の90%が何らかの保護を行っていることが確認できます。特に「技術・ノウハウの一部を特許権実用新案権意匠権を取得し、重要な技術・ノウハウは企業秘密として保護」している企業の割合が45.4%と半分近くを占めています。

非製造業で海外市場に販売している企業の50.0%が企業秘密や特許権実用新案権意匠権で保護していません。しかし、商標権を調査対象に含めれば、また異なった結果になったのではないでしょうか。

では海外展開している企業は、成功のためにどんな要因が重要と考えているのでしょうか。それを示しているのが次のグラフです。

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「現地でのビジネスパートナーの確保(販売先・提携先など)」が62.8%と最も多く、「海外ビジネスを担う人材の確保・育成」が45.8%、「現地市場・制度・商慣習の調査」が33.8%と続きます。これから海外展開を図るには、これらの下準備が重要となります。

 

 (図表は2020年度版中小企業白書より引用)