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世界経済の不確実性

世界経済の不確実性

 

近年、日本の製造業のサプライチェーンにおいて、海外、特に中国の占める役割が大きくなっています。財務省の「貿易統計」によると2019年第4四半期における製造業の輸出額のうち20.8%、輸入額のうち25.0%を中国が占めています。

東日本大震災の時、中核部品を特定企業に依存していた自動車業界のサプライチェーンが機能しなくなり、完成車メーカーに多大な影響を与えました。その反省よりトータルサプライチェーンの可視化や地域リスクの分散等が行われてきました。

そこに今回の新型コロナウィルスによるパンデミックです。現地従業員の移動制限や物流の停滞など、サプライチェーンに甚大な影響を与えています。

世界経済が不確実な状況に陥っている現状を知る指標として、「VIXインデックス(恐怖指数)」があります。VIXインデックスは、S&P500インデックスを対象とするオプション取引の上下変動する頻度や振れ幅から市場の不確実性を表す指標として利用されています。これにより投資家が先行きをどのように感じているかを知ることができます。VIXインデックスは、別名「恐怖指数」と呼ばれいます。

次のグラフが恐怖指数です。

 

           VIXインデックス(恐怖指数)の推移

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2020年3月には2009年のリーマンショックを超える変動を見せています。新型コロナウィルスが世界経済に与えた影響が甚大であることが確認できます。

 

これまでもサーズやマーズ等の感染症が世界経済に影響を与えてきました。

それらの感染症と今回の新型コロナウィルスの不確実性を比較しましょう。

 

            世界パンデミック不確実性指数

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2002年から03年のサーズや2014年から20年のマーズなど比べ物にならないほど、新型コロナウィルスがもたらした不確実性が巨大であることが見て取れます。記録的なレベルで先行きが見通せない、ということでしょうか。

 

2020年度版ものづくり白書では、世界の政策不確実性指数も掲載しています。

ご紹介しましょう。

 

                世界の政策不確実性指数

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この指標は米シカゴ大学のスティーブン・デービス氏と米スタンフォード大学のニック・ブルーム氏らの研究チームが、新聞報道の数を拠り所として考案したものです。

近年の世界の政策時確実性が高まっている中、新型コロナウィルスのパンデミックが発生したことになります。

 

最後に中国製造業の動向と日本の国内の工作機械受注への影響を紹介します。

 

              中国における投資の動向

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2018年夏以降、中国の製造業の景況感が悪化し、投資が縮小しています。米中貿易摩擦の影響が中国製造業にマイナスに働いています。

 

         工作機械受注の前年比伸び率(地域別寄度) 

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2018年5月から中国からの工作機械受注の前年比伸び率がマイナスとなっています。丁度、中国製造業の投資が減少した時期と重なり、米中貿易摩擦による中国経済の低迷が日本国内の工作機械受注に影響を与えているのです。

 

(図表は2020年度版ものづくり白書より引用)