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ホーソン効果

ホーソン効果

 人に見られたり、関心を持たれることでパフォーマンスが向上する効果。

 

【解説】

 1924年から1932年までアメリカのウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場において、作業条件を変えることが労働者の作業能率にどう影響するのか、についての実験が行われました。途中からはハーバード大学のエルトン・メイヨー、フリッツ・レスリスバーガーらが参加しています。

その結果、「作業能率は作業環境よりも職場における人間関係に左右される」ことが明らかになりました。その背景には労働者が周囲から注目されたり関心を寄せられたりすると、それに応えようとする傾向があります。これをホーソン効果と呼びます。

 

【信憑性】

 ホーソン実験が行われた頃の労働者の管理は、フレデリック・テイラーが考案した科学的管理法に基づいて行われていました。賃金の額は、課業(与えられた作業量)の達成度合いによって決めらていました。そのためには作業を標準化する必要があり、労働者を決まった動作を決まった時間で動く機械のように見なしていたのです。

ホーソン実験以後は、労働者の感情や人間関係が作業能率の向上に重要であることから経営のあり方も変わっていきました。

一方、患者が信頼している医師に関心を寄せられることで、症状を隠したり改善したように振舞うことがあります。これもホーソン効果の一種とされていますが、医学統計上症状が良くなったと誤って解釈されてしまうことになります。ホーソン効果が統計に歪を与えることもあるのです。

 

【適用例】

 メイヨーは職場内に自然発生的に生じる非公式組織に着目し、生産性を高めるには労働者間や上司との人間関係が重要であることを説く人間関係論を提唱しています。

生産性向上には職場における人間関係が重要であるとの考えは、現代の経営にも活かされており、先輩社員が指導役となり新入社員の面倒を見るブラザー・シスター制度や上司以外の熟練者が指導を行うメンター制度などが導入されています。

部下や後輩を励ましたり、関心を持っていることを告げることがホーソン効果を生み、モチベーションを向上させるのです。