計画におけるグレシャムの法則
目の前のルーチンワークに忙殺されて、創造的な業務が後回しになること。
【解説】
グレシャムの法則とは、悪貨は良貨を駆逐する、とも言われる経済法則です。より実質価値の高い通貨がため込まれてしまい、市場に流通するのは実質価値の低い通貨だけになってしまうという現象です。金本位制の時代、金の含有量の多い金貨は使われず、金の含有量の少ない金貨のみが支払いに用いられました。
グレシャムの法則の名前の由来は、16世紀のイギリス国王財政顧問のトーマス・グレシャムの名前に由来します。
計画におけるグレシャムの法則は、これを意思決定の場面に適用したものです。
非日常的意思決定や創造的な業務を良貨、日常的意思決定やルーチンワークを悪貨に見立てます。計画におけるグレシャムの法則とは、日常的な意思決定やルーチンワークに忙殺されて、本来取り組まなければならない非日常的な意思決定や創造的な業務が後回しになってしまうことを意味しています。
尚、短期の利益に目を奪われて長期投資や長期の成果に結びつく投資が忘れられる現象を「経営のグレシャムの法則」と呼びます。
【信憑性】
非日常的意思決定や創造的な業務には、時間とエネルギーを要します。一方、日常的意思決定やルーチンワークは、やり慣れていますので労せずとも行うことができます。
面倒なことは避けたい、という気持ちが計画のグレシャムの法則を招きます。
また非日常的意思決定や創造的な業務は、日常的意思決定やルーチンワークに比べて期限が決まっていないことも多く、何を持って完了したのか、というゴールが見えにくいものです。従って、ついつい後回しにしても良いだろう、という気持ちが働くのです。
【適用例・対策】
計画におけるグレシャムの法則に対しては、どうやって陥らないようにするかの対策が必要です。
人間の習わしとして避けられないのであれば、強制的に非日常意思決定や創造的な業務を行う仕組みを設けるしかありません。これらの業務を専門的に行う部署を作る、期間や時間をあらかじめ定めておいて実行する等の仕組みです。
まずは普段の業務を振り返って計画におけるグレシャムの法則に陥っていないか、点検する必要があります。