マネジメントの第一歩

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有用性のわな

有用性のわな

 ある方法で成功を収めるとその方法が有効であると思い込み、それ以外の方法を採用することを拒否してしまう現象。

 

【解説】

意思決定が 成功体験に縛られてしまうという意味ではアインシュテルング効果と似ていますが、 アインシュテルング効果が問題解決における現象であるのに対して、有用性のわなは、組織改革の場面で見られる現象です。

 現状で満足できる利益を上げているならば、あえて組織変革など相当なエネルギーを要し、軋轢を生むような取り組みに挑むという意欲は湧きません。たとえ今より優れた戦略やプロジェクトがあっても、探索することはないでしょう。

 

【信憑性】

 現状が上手く行っていればいるほど有用性のわなに陥ります。今が良いならば、あえてしんどいことはしたくないのは当然の心理です。

 かつてイノベーションを生み出した企業が、イノベーションで成功しすぎた故に次のイノベーションを生み出せなくなる「イノベーションのジレンマ」も、有用性のわなの一例でしょう。

 

【適用例・対策】

 今の戦略や組織構造が良い結果をもたらしていても、企業を取り巻く環境は変化しています。その時は最良の戦略や組織でも環境変化により、最適解が変わることはあり得ます。従って、常に環境変化を察知して、今のままでよいのか自問する必要があります。

そのためには現在の価値観による情報の解釈ではなく、現場の生の情報に触れて多様な解釈を行う必要があります。

現場の生の情報に触れることで環境の変化を認識する。そして、固定概念にとらわれず、多様な解釈を行うことで選択肢を増やす。その上で、意思決定を行う。

 

まずは今現在、有用性のわなに陥っていないか確認することから始めましょう。