ツァイガルニク効果
人は達成できた事項よりも、未達成や中断された事項をよく覚えている。
【解説】
ツァイガルニク効果は、ドイツの心理学者クルト・レヴィンとソビエト連邦の女性心理学者ブルーマ・ツァイガルニクの仮説「人は目標に向かっている時は緊張感が生まれるが、目標が達成されると緊張感は解消する」が原点です。その後、ツァイガルニクの心理実験により実証されツァイガルニク効果と呼ばれています。「Zeigarnik」の読み方によりゼイガルニク効果、ゼイガルニック効果と呼ばれたりもします。
実験は、以下の内容で行われました。
被験者をAとBのグループに分けて、次の条件で簡単な作業やパズルに取り組ませる。
Aグループ 課題を最後まで完了させてから次の課題に取り組む
Bグループ 取り組んでいる課題を中断し、次の課題に取り組む
全てが完了した後、全員に課題の内容を思い出してもらう
するとBグループのほうがAグループの倍も課題を思い出せたのです。
【信憑性】
これはテレビ番組の編集や広告に応用されています。テレビ番組では、必ず結論が出る前にCMが入ります。CMを入れることで番組を中断し、視聴者に「この先どうなるのだろう」と興味を持たせて番組を引き続き見させる効果を狙っています。連続ドラマでも一つの事件が終わり次の展開が始まったところで、次週に続きます。視聴者は中途半端な状態で置き去りにされ、先の展開を早く見たくて次週の放送を楽しみにするのです。
車の広告でも全体像を見せずシルエットだけ見せたりして関心を惹く工夫をしています。映画の予告編などツァイガルニク効果の典型例でしょう。
恋人を振った方よりも振られた方が未練がましいのも、この効果によります。振った方は自分から恋愛感情に決着をつけているのに対して、振られらた方は恋愛感情が残ったまま関係を断たれるため相手を忘れることがで難しくなるです。
【適用例】
アマゾンの書籍サイトでは、最初の数ページを見せて閲覧者の関心を引いています。
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