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感染症流行後の取り組み

感染症流行後の取り組み

 

感染症の流行という環境変化に対して、どのように対応していくのか。今後の企業経営における大きな課題です。

環境変化に対応するための取り組みとして、よく行われているのが新製品・サービスの開発・提供でしょう。2021年版中小企業白書では、感染症流行後に新製品・サービスの開発・提供をどの程度実施しているかを「積極的に実施」、「ある程度実施」、「実施していない」の3段階に分け、その企業が事業環境の変化に柔軟に対応できていると感じているかを調査したデータを紹介しています。

結果は、「積極的に実施」している企業ほど事業環境の変化への対応に「十分できている・ある程度できている」の割合が高くなっています。

 

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 次のグラフは、更に業種別に分けたものです。全ての業種で新製品・サービスの開発・提供を実施している企業ほど、事業環境の変化に対応できていると感じていることが分かります。

 

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また事業環境の変化に対応する方法として、他の事業分野へ進出することも考えられます。次のグラフは、感染症流行後に新事業分野への進出をどの程度実施しているかを先程と同様に3段階に分類し、事業環境の変化に対応できていると感じているかを調べたものです。するとやはり積極的に実施してる企業ほど「十分できている・ある程度できている」と回答しています。

 

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 新事業分野への進出も業種別に分けて見ています。

ほとんどの業種で実施の程度が上がるほど事業環境の変化に対応できていると感じています。しかし、飲食サービス業では、「実施していない」企業のほうが「ある程度実施している」企業よりも、事業環境の変化に対応できていると感じています。

白書では生活関連サービス業の「積極的に実施」と「ある程度実施」と回答している企業の割合に差が少ない、と指摘していますが、その理由については言及していません。

 

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新製品・サービスの開発・提供にしても、新事業分野への進出にしても、経営者だけで実現できるわけではありません。従業員も含めた企業全体で取り組む必要があります。

そこで感染症流行後に従業員の能力開発・ノウハウ取得のための研修の実施状況を3段階に分けて、事業環境の変化に対応できていると感じているかと調べたものが次のグラフです。

 「積極的に実施」してる企業ほど、事業環境の変化への対応が「十分できている」、「ある程度できている」と回答している企業の割合が多くなっています。

 

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 更に業種別で見たものが次のグラフです。全ての業種で実施の程度が上がるほど事業環境の変化に対応できていると感じていることが分かります。

 

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事業環境の変化に対応するには、新製品・サービスの開発・提供や新事業分野への進出が有効であり、そのためには従業員の能力開発・研修の実施が必要であることが確認できました。

 

(図表は2021年版中小企業白書より引用)