中小企業の借入金の状況
感染症の流行は、企業の業績に大きなダメージを与えました。売上げと利益が減少すれば、手元資金がひっ迫します。当然、借入金が増えます。
そこで現状の中小企業の借入金の状況を確認しましょう。
感染症の流行前と比べて借入金の過剰感を感じている企業が増えています。「ある程度感じていつ」企業と「大いに感じている」企業を合わせると、感染症流行前では21.3%でしたが、現在では29.8%となっています。
では借入金の返済の見通しはどうなっているのでしょうか。借入金の過剰感別に調べたデータがあります。
やはり借入金の過剰感が高い企業ほど、返済に懸念を感じています。
これは次の新たな資金調達への懸念にも現れています。
借入金の過剰感を「大いに感じている」企業では、新たな資金調達ができなくなる懸念を24.1%の企業が「大いに感じでいる」と回答しています。
これらのことが今後の事業の方向性にどんな影響を与えているのでしょうか。
借入金の過剰感を「大いに感じている」企業では、感染症収束後の事業の方向性として「規模縮小・廃業を検討」と回答している割合が8.2%となっています。借入金が企業の存続に足かせとなっている様子が見て取れます。
資金調達の手法は借入金に限りません。最近では新株発行により事業資金を調達するエクイティファイナンスも注目を集めています。中小企業でもエクイティファイナンスを行う企業が増えていますが、それらの企業はエクイティファイナンスにどんなメリットがあると考えているのでしょうか。
「資金繰りの安定化」が最も高く77.7%。しかし、「ガバナンスの強化」や「出資元からの人材面での支援」も一定数の割合があります。エクイティファイナンスには、資金面だけでないメリットがあることが確認できます。
(図表は2022年版中小企業白書より引用)