データ・情報資産の管理状況
企業が事業活動を行う過程では、様々な情報を取得します。中小企業では、そのような情報をどのように管理し、活用しているのでしょうか。
まずはセールスマーケティングとサプライチェーンにおけるデータ・情報資源の管理方法やデータベース化の有無に関する調査結果です。
尚、セールスマーケティングにおいては「顧客・販売情報」、サプライチェーンにおいては「受発注、生産・在庫情報」を調査対象としています。
「電子ファイルで管理し、データベース化している」と「紙媒体で情報を電子ファイルに転換し、データベール化してる」を合わせるとセールスマーケティングでは半数弱、サプライチェーンでは4割弱となっています。「紙媒体のまま管理している」に着目すると、セールスマーケティングでは約2割、サプライチェーンでは3割弱の企業が該当します。サプライチェーンの方がデータの管理がデジタル化されていないようです。
次は、同じ調査結果を業種別に見たものです。
セールスマーケティングにおいて、「電子ファイルで管理し、データベース化している」と回答した企業の割合が多い業種は小売業、情報通信業を始め多くの業種が該当します。一方、「紙媒体のまま管理している」と答えた企業の割合が3割を超えている業種は、宿泊業・飲食サービス業と運輸・郵便業となっています。
サプライチェーンでは、「電子ファイルで管理し、データベース化している」と回答した企業の割合が多い業種は小売業、卸売業、製造業、学術研究専門・技術サービス業です。一方、「紙媒体のまま管理している」と答えた企業の割合が4割を超えている業種は、生活関連サービス業と運輸・郵便業、宿泊業・飲食サービス業となっています。
どちらも業種によるバラつきが存在しています。
下のグラフは「紙媒体のまま管理している」企業を省いて、データ入力の方法を業種別に確認したものです。
セールスマーケティングにおいて、「主にシステムで自動で入力している」と回答した企業の割合が最も高い小売業でも27.2%です。どの業種でも「主に従業員がパソコンで手入力している」状態であり、情報通信業でも81.5%となっています。
サプライチェーンにおいても圧倒的に「主に従業員がパソコンで手入力している」状態に変わりありません。
このあたりに業務効率化を向上させる工夫の余地がありそうです。
次は「紙媒体のまま管理している」と答えた企業に、電子化できない理由を問うた結果です。
セールスマーケティングとサプライチェーン双方とも「電子化するのに手間がかかる」が一定数存在するのに対して、「電子化するにあたりコストがかかる」の割合の方が低くなっています。コストよりも手間がかかることのほうがネックになっているようです。また「電子化する目的・メリットがない、分からない」や「特になし」との回答も多く、電子化そのものの価値を見出せていない企業も多く存在することが分かります。
引き続いでデータベース化できない理由に関しても確認致しましょう。
やはりセールスマーケティングとサプライチェーン双方において、「DB化するにあたり手間がかかる」の回答割合が最も高くなっています。またそれぞれ「DB化するにあたりコストがかかる」よりも「DB化を担う人材の不足」の回答割合が高く、人材面での課題がDB化が進まない要因となっていることが分かりました。
(図表は2022年版中小企業白書より引用)