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ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック

 最初は断られることを前提にわざと大きな要求をして断られると、徐々に要求のレベルを下げていき、最後に本当の狙いの要求を通す技法。

 

【解説】

 ます断られることを前提にわざと大きな要求をします。当然、断られます。次に少々レベルを落とした要求をします。またしても断られます。順次、レベルを落とした要求をしていると、断る相手も次第に「断ってばかりで悪いな」という感情が出てきます。そしてついに小さな要求を受け入れるようになるのです。

勿論、合意に至るまでの要求は、本来の要求を通すための捨て石です。この方法の優れているのは、相手が途中の要求で合意してくれると、本来の要求よりも高いレベルでの合意となりますので、儲けものとなることです。

ダメ元で高い要求から始めると、意外と有利な条件で合意を得ることもできるのです。ドアが開いたらまずは顔を突っ込め、という厚かましい技法です。

 

 【信憑性】

 ドア・イン・ザ・フェイス技法は、心理学の「反報性の原理」を応用しています。「反報性の原理」とは、人は他人に借りを作ると、そのお返しをしないと気持ちの整理がつかない、という心理です。一方的に借りだけが残ると、「相手に悪いな・・・」という気持ちが生まれるのです。そのため、少しくらいの無理ならば聞いてもいいか、という心理から要求を受け入れてしまうのです。

 しかし、この技法は相手により効果が異なりそうです。どこまでいっても相手のことなど露知らず、平気で断り続ける面の皮の厚い人もいるでしょう。ドア・イン・ザ・フェイス技法は、相手の面の皮の厚さを知っていたほうが効果的のようです。

 

【適用例】

A「今日、持ち合わせがないんだ。一万円貸してよ」

B「俺もそんなに持っていないよ」

A「じゃあ。五千円でいいよ。五千円貸してよ」

B「無理言うなよ」

A「三千円。三千円でいいよ」

B「何に金が要るんだよ?」

A「昼飯代。今朝、財布忘れちゃってさ。このままだと昼抜きになっちゃう」

B「分かったよ。ラーメンおごってやるよ」

 

度々やると、友人を失いそうですね。

店頭販売でも、店員が最初に提示した金額から徐々に金額を下げていき、最後にはおまけまでつけて来店客のアピールしていたりします。勿論、彼らは最終金額で売っても儲けがあります。この技法を知っていれば自分が要求される側になった時、次に相手がどのような要求をしてくるのか、楽しみながら交渉ができますね。