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ピークエンドの法則

ピークエンドの法則

 人は経験を、その絶頂期(ピーク)と終わった時(エンド)の印象で全体を評価する。

 

【解説】

この法則は、1999年に心理学者、行動経済学者のダニエル・カーネマンにより提唱されました。カーネマンは2002年には行動経済学と実験経済学への貢献を認められノーベル経済学賞を受賞しています。

カーネマンは学生を2つのグループに分けて実験を行いました。

Aグループ 14度の冷水に60秒手をつける

Bグループ 14度の冷水に60秒手をつけた後、30秒間15度まですこしづつ温める

するとAグループよりもBグループの方が不快感は低くなりました。

別の時期には騒音を使った実験も行っています。Aグループには8秒間大音量の騒音を、Bグループには8秒間の大音量の騒音の後、続いてましな音を8秒間聞かせたのです。すると冷水の実験と同じようにBグループの方が不快感は低かったのです。

どちらもBグループはAグループよりも好ましい終了を迎えているため、人は苦痛のピークの記憶とエンドの記憶で経験を評価していると結論づけたのです。 

 

【信憑性】

 途中まで退屈な映画でも、ラストのどんでん返しで評価が好転します。その逆にラストが中途半端な終わり方だとスッキリしない感じになってしまいます。

「終わりよければ全てよし」とか「余韻に浸る」という言葉もあるように、特にエンドの印象は重要です。

 

【適用例】

飲食やサービス業では、退店時に店の外まで見送られるとうれしいものです。帰り際に飴や一口アイスを渡してくれる飲食店もあります。

店内が騒がしかったり店側にオーダーミスなどの落ち度があった場合などでも、帰り際に再度謝罪したり商品券を渡すなどの気配りで来店客が感じた悪いピークの印象を拭うことができます。

人間関係でも別れ際の印象が大事です。素っ気なく別れるよりも、名残惜しい言葉や感謝の気持ちを伝えることで相手に好印象を与えることができます。

ピークは相手の期待によるところが大きくコントロールしにくいですが、エンドであれば好印象を持ってもらえるように工夫ができます。