コンコルドの誤謬
大きなプロジェクトほど、中止することが難しい。
【解説】
コンコルドは、イギルスとフランスが共同開発した超音速旅客機です。1969年3月1日に試験飛行を行い、1976年1月26日に運用開始となりました。最大速度マッハ2.2(時速2692㎞)、ロンドン・ニューヨーク間を2時間52分9秒で 飛びました。
しかし、超音速で飛ぶため騒音が非常に大きくソニックブームが問題となりました。またオイルショックも発生し、燃料費の高騰により世界中の航空会社から受注していたにも関わらず、キャンセルが多発します。しかし開発は続けられて結局、ブリテッシュ・エアウェイズとエールフランスの2社のみでの運用となります。ところが乗客定員が100名程度のため運賃が高額となり、商業的には失敗。2003年11月26日の運航が最後となりました。
キャンセルが相次いだにも関わらず開発を続けたのは、イギリスとフランスの合同プロジェクトというメンツが背景にあったと言われています。
【信憑性】
コンコルドは、開発当初250機が採算ラインといわれながら、量産機としては16機しか製造されていません。
普通の航空機より長い滑走路が必要であり、大西洋は飛べても太平洋は飛び越せない航行距離の制限等により不人気でもあったにも関わらず、開発を続けたのはサンクコストの存在があるでしょう。
これは公共工事でもよくあります。ダムの建設など長期に渡る事業の場合、計画時と現在とでは状況が変わりダムの必要がなくなっても「税金のムダ使い」と非難されるのを恐れるあまり、事業を継続してしまいがちです。
プロジェクトが大きければ大きいほど、サンクコストも大きくなりますので、ますます途中で止めることが困難になってしまいます。
【適用例・対策】
コンコルドの誤謬に陥らないためには、サンクコストの呪縛と同じ対応が有効となります。
また状況が変わる可能性があるならば、計画時にコンティンジェンシープランも用意しておくべきでしょう。
コンティンジェンシープランとは、計画遂行に影響のある事象を事前に想定しておき、その事象が発した場合に乗り換えるプランのことです。本来ならば表に出ることはないプランのため、シャドープランとも呼ばれます。
見栄やサンクコストにこだわるあまり、冷静な判断ができなくなるようではマネジメントとしては失敗でしょう。