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戦略実行を支える人材

戦略実行を支える人材

 

中小企業では所有と経営が一体化していることが多く、経営者と従業員の間に溝ができてしまうことも多いです。規模が小さければまだしも、ある程度の規模にまで成長してくると、経営者と従業員のつなぎ役や経営者の補佐役が必要になってきます。

2023年版中小企業白書では、「社内において経営者に続くナンバー2の立場にあり、会社経営を行う上での悩み事が相談できる等、経営者が厚い信頼を寄せる人材」を「右腕人材」、「経営者に近い立場にあり、高い専門性や事業推進力を持つ人材」を「変革人材」と定義し、経営者を支える人材について分析しています。

まずは右腕人材から見ていきましょう。

 

直近10年間における右腕人材の有無を確認したデータです。「いた」と答えた企業が65.6%となっています。一括りに中小企業といっても、多様な中小企業が存在するため、できれば右腕人材の有無と社歴や規模との関係も知りたいところです。

 

その右腕人材ですが、どのような経歴を持っているのでしょうか。

 

 

「社内で育成した右腕人材」が7.3.7%、「社外から確保した右腕人材」が26.3%となっています。社内で育成する期間、経営者と時間と空間を共有することが多いため、経営者にとって気心が知れた右腕にふさわしい人材になることが想定できます。

 

続いては右腕人材の有無別に見た、売上高増加率の水準です。

 

 

「いた」企業では35.0%の売上高増加率ですが、「いなかった」企業では32.0%に留まっています。右腕人材の存在は売上高の増加に貢献しているようです。

ではそのような右腕人材は、どのようは知識・スキルを持っているのでしょうか。

 

右腕人材の経歴別に、右腕人材の知識・スキルを見ると、「内部で育成した右腕人材」は「営業」に関する知識・スキルを持っている傾向があります。また、「外部から確保した右腕人材」については、「経営企画」、「経理・財務」、「総務」といった、管理系の知識・スキルを持っている傾向があります。

 

社内で育成した右腕人材が多いことは確認できました。

その育成においての取組に関して、調査したのが次のデータです。

 

 

「意識的な権限委譲」が50.6%と最も多く、次いで「経営陣との接点の増加」が49.0%となっています。権限委譲することで業務において意思決定する機会を経験させ、接点を増加させることで経営陣との意思疎通を図る。

何も特別なことではなく人を育てていく手段の一つにすぎませんが、経営者がワンマンでいる限り、右腕人材は育たないことが推測できます。

 

(図表は2023年版中小企業白書より引用)