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外部人材の活用

外部人材の活用

 

能力開発への取組や人事制度、賃金制度などで社内の人的資源の有効活用を図る中小企業の姿を見てきました。しかし、そもそも経営資源に乏しい中小企業ですから、社内の人的資源にも限りがあります。そこでフリーランスや副業人材などの外部人材の活用も有益であると考えられます。

まずは業種別に外部人材を活用する意向がどの程度あるのか確認してみましょう。

 

 

既に外部人材を活用している業種である情報通信業が59.8%と他の業種の倍近い割合となっています。片や製造業や卸売業では半数以上が「活用する意思はない」と回答しており、業種間で温度差が感じられます。

では具体的にどのような分野で外部人材の活用を検討しているのでしょうか。

業種別ではなく、従業員規模別のデータですが、下のグラフで確認できます。

 

 

どの分野でも一定数のニーズがあることが伺えます。従業員規模が小さい企業では「営業・販売促進」が高い割合ですが、規模が大きくなると「IT導入」や「新事業開発」の割合が高くなっています。規模が小さいと短期的な成果を求め、規模が大きくなるにつれ中長期的な成果を求めてる傾向があるのでしょうか。

またなぜ外部人材を活用しようとするのか、その理由に関してもデータが紹介されています。

 

 

企業規模に関わらず「専門的な技術やノウハウを活用するため」と「人材不足を補うため」の割合が高くなっています。従業員規模が5~20人では「人材不足を補うため」の方が高い割合ですが、規模が大きくなると逆転し「専門的な技術やノウハウを活用するため」の割合が高くなっています。まずは人材の数を求め、ある程度、数が満たされれば質を求めて行くという傾向なのでしょうか。

その外部人材の活用が売上高にどのように貢献しているのか。下のグラフで確認しましょう。

 

「既に活用している」企業の売上高の増加率は9.5%と「活用する意思はない」企業の4.1%の倍以上の伸び率です。これはかなりの効果が出ているということでしょうか。

とはいえ外部人材ですから、社内の人材のように管理され指揮命令系統が機能するとは考えにくいです。外部人材の活用に当たって、どのような課題や障壁があるのでしょうか。

 

 

活用の有無に関わらず「フリーランスや副業人材の能力の見極め」が課題・障壁であるようです。そもそも社内の人材にない能力やスキルを求めているのですから、その評価基準すら持ち合わせていないことが考えられます。

「活用したことはないが、活用してみたい」企業では、「フリーランスや副業人材との
出会い・マッチング」や「労働条件や契約条件の調整」を、課題・障壁として挙げる割合が「既に活用している」企業よりも高くなっています。

中小企業がより外部人材の活用に取り組みためには、外部人材との出会いの場を設け、オープンな労働条件や契約条件の環境が整うことが必要なようです。

 

(図表は2022年版中小企業白書より引用)