ものづくり中小企業のデジタル化への取り組み
デジタル化へ取り組み始めているものづくり中小企業ですが、実際にはどのような取り組みが行われているのでしょうか。
次のグラフは、既にデジタル技術を活用している企業とまだ活用していない企業に分けて確認した現在行われている取り組みです。
デジタル技術の活用を進めていくにあたって現在行われている取り組み
デジタル技術を活用している企業では、「会社が必要とするデジタル技術活用の要件の明確化」が29.8%と最も高く、「社員のデジタル技術活用促進に向けた意識改革」29.2%、「会社の指示による社外機関での研修・講習会への参加」24.5%と続きます。デジタル技術活用に向けた組織体制作りが行われているようです。
一方、デジタル技術を未活用の企業は、「行っている取り組みは特にない」が49.2%ともっとも高い値です。
ではデジタ化を進めるにあたり、その人材はどのようにして確保しているのでしょうか。
次のグラフは、既にデジタル技術を活用している企業と未活用の企業に分けたデジタル化へ向けた人材確保の様子です。
デジタル技術の活用を担う人材確保の方法
既にデジタル技術を活用している企業では、「自社の既存の人材をOJT(職場での仕事を通じた教育訓練)で育成する」が57.0%と最も高く、「自社の既存の人材をOFF-JT(外部セミナー・講習等への参加など職場を離れた教育訓練)で育成する」51.5%、「ICTなどに精通した人材を中途採用する」28.3%と続きます。
一方、デジタル技術未活用の企業では、「自社の既存の人材をOFF-JT(外部セミナー・講習等への参加など職場を離れた教育訓練)で育成する」が39.5%と最も高く、「自社の既存の人材をOJT(職場での仕事を通じた教育訓練)で育成する」が29.7%、「ICTなどに精通した人材を中途採用する」23.9%と続きます。
デジタル技術を活用している企業は、より社内でOJTに取り組める環境が整備されているようです。
デジタル技術の活用にはどのような課題があるのでしょうか。
次のグラフで確認しましょう。
デジタル技術を活用していく上で課題となる点
ここでは上位4位まで既にデジタル技術を活用している企業と未活用の企業の回答が同じになっています。「導入にかかるノウハウの不足」「人材の不足」「予算の不足」「人材の育成のためのノウハウの不足」が共通の課題となっています。
デジタル技術未活用の企業では、「デジタル技術導入の効果が分からない」との回答も25.3%ほど存在し、これがデジタル化に取り組んでいない理由のようです。
主力製品の製造に当たって重要となる作業と5年後の見通しについて、既にデジタル技術を活用してる企業からも回答を得ています。
デジタル技術を活用している企業の主力製品の製造に当たって重要となる作業と
5年後の見通し
すると全ての作業で「今まで熟練技能が必要」と回答している企業が多い、との結果が出ました。
デジタル化が進んでも、ヒトによる熟練作業は不可欠と考えています。
(図表は2020年度版ものづくり白書より引用)