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IT人材の確保と育成

IT人材の確保と育成

 

IT投資においては、ソフトやハードを導入したからといって必ずしもその効果が現れるとは限りません。使いこなせる人材がいてこそIT投資の効果が十分に発揮できます。

では中小企業においてIT人材の確保の実態はどのように行われているのでしょうか。

次のグラフはITツールの活用や情報システムの導入を、企画、推進、運用する人材をIT人材と総称し、その確保状況を知らべたものです。なんと「デジタル化の取組全体を総括できる人材」と「ITツール・システムを企画・導入・開発できる人材」に関しては、半数以上の企業が「確保できていない」と答えています。

 

 

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あまり確保できていないIT人材ですが、彼らは社内のどのような部署に配属されているのでしょうか。次のグラフで確認しますと、「ITツール・システムを企画・導入・開発できる人材」と「ITツール・システムを保守・運用できる人材」を「システム部門」に配属している企業が半数以上存在しています。

「デジタル化の取組全体を総括できる人材」については、「経営層(CIOなど)」と回答している企業が35.6%と「システム部門」の39.3%と同等数の企業が回答しています。 

 

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 中小企業では、IT人材の確保が進んでいないことが分かりました。なぜIT人材の確保が進んでいないのか。次のグラフは、IT人材の確保においての課題を調査したものです。これによると「IT人材を採用・育成する体制が整っていない」と回答した企業が57.1%と他の課題に比べて突出して多いことが分かります。

IT人材を確保するにはまず体制作りから始める必要がありそうです。

 

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IT人材の確保の体制に課題があるとはいえ、確保に向けて実際にはどのような活動を行っているのでしょうか。次のグラフはIT人材の確保の方法及び育成方法を調べたものです。確保の方法では「既存社員の育成」が最も多くなっています。また「何も実施していない」と回答した企業が2割を超えて存在しています。IT人材の確保に向けて何らかの取り組みを行わなければ、人材の確保が困難であるのはやむを得ないことかと思います。

また育成方法に関しても調査していますが、「基本的に社員の自主性に任せている」との回答が3割以上あります。組織として体系的な育成制度が不十分であることを窺わせる結果となっています。

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(図表は2021年版中小企業白書より引用)