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デジタル化推進に向けた意識改革

デジタル化推進に向けた意識改革

 

中小企業がデジタル化に取り組みにあたり、明確な目的・目標がないことやアナログ文化が定着していることが課題であることが分かりました。このような組織的な課題に対して、中小企業はどのように対応しているのでしょうか。

次のグラフは、中小企業におけるデジタル化に対する社内の意識を調査したものです。これによると「全社的にデジタル化に積極的に取り組む文化が定着している」が10.1%、「デジタル化に積極的に取り組む文化が醸成されつつある」が42.3%と半数以上の企業にデジタル化を積極的に進める下地があることが分かります。しかし、デジタル化に抵抗感を持つ企業も半数弱存在していることも示しています。

 

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デジタル化に対する意識とデジタル化を進めることの業績への影響は、どのような関係にあるのでしょうか。それを調べたのが次のグラフです。デジタル化に「積極的な文化がある」企業では、「大きくプラスの影響を及ぼした」が14.6%、「ある程度プラスの影響を及ぼした」が61.3%となっています。

 一方、デジタル化に「抵抗感の強い文化がある」企業では「どちらとも言えない」が56.2%存在しています。アナログ的な文化を変えていかなければ、デジタル化の効果を感じにくいようです。 

 

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 デジタル化への意識に、業種別の特徴はあるのでしょうか。次のグラフは業種別にデジタル化に対する意識とデジタル化推進による業績への影響を調べたものです。すると全ての業種でデジタル化に「抵抗感の強い文化がある」企業よりもデジタル化に「積極的な文化がある」企業の方がデジタル化への取り組みが業績にプラスの影響を与えていることが確認できます。

 

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 次のグラフはデジタル化への社内の意識と労働生産性の関係を調べたものです。

「全社的にデジタル化に積極的に取り組む文化が定着している」企業の労働生産性の平均値は6,841千円/人となっています。これに対して「全社的にデジタル化に対する抵抗感が強い」企業の労働生産性の平均値が4,050千円/人と6,841千円/人の6割の水準となっています。

 

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デジタル化への意識の違いから、 デジタル化に向けた組織文化醸成についての取組を確認したのが次のグラフです。するとデジタル化への社内の意識に関わらず、「抵抗感が少ない部分から徐々にITツールを導入している」企業が半数以上を占めていることが分かりました。

デジタル化への意識の違いが明確に表れたのは「社内の各層にデジタル化の目的・目標などを丁寧に説明している」と「研修など、社員のITリテラシーを高める取組を実施している」です。両項目とも「デジタル化に取り組むことに対して積極的な文化が醸成されている」企業の方が「デジタル化に取り組むことに対して抵抗感がある」企業よりも倍以上高くなっています。これらが「IT人材を確保している」の差にもなって現れているかと思います。

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(図表は2021年版中小企業白書より引用)