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中小企業のデジタル化推進に向けた課題

中小企業のデジタル化推進にむけた課題

 

 これまでのデータでもデジタル化に向けた取り組みが、企業の業績にプラスの影響を与える可能性が高いことが分かりました。しかし、多くの中小企業でデジタル化が望み通りに進んでいないのが現状ではないでしょうか。

次のグラフは業種別にデジタル化推進に向けた課題を調べたものです。

順位は業種によって異なりますが、「アナログな文化・価値観が定着している」、「明確な目的・目標が定まっていない」、「組織のITリテラシーが不足している」が上位3項目となっています。
特定の業種で顕著に見られた特徴として「建設業」と「卸売業」では、「長年の取引慣行に妨げられている」が多い回答になっています。また「宿泊業、飲食サービス業」では「資金不足」の回答が多くなっています。

 

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次のグラフは従業員規模別にデジタル化推進にむけた課題を調べたものです。

従業員規模別が大きくなるほど「アナログな文化・価値観が定着している」、「組織のITリテラシーが不足している」、「長年の取引慣行に妨げられている」が多くなる傾向にあります。組織が大きくなるほど、これらの項目を変えていくのが難しくなるようです。

また従業員規模が小さい企業ほど「明確な目的・目標が定まっていない」、「資金不足」と回答する企業が多くなっています。

 

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更にデジタル化推進による効果別にデジタル化推進に向けた課題のデータを紹介しましょう。「効果が出た」と「効果が出なかった」の括りで見てみますと、「効果が出なかった」と感じている企業は「効果が出た」と感じている企業に比べて「明確な目的・目標が定まっていなかった」、「資金不足」と回答している割合が高くなっています。

資金不足は企業の業績やデジタル化の規模にもよりますが、デジタル化を推進するにあたり、その目的・目標を明確にすることは重要出ることが伺えます。

 

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次のグラフはスマートSMEサポート制度の認定を受けている企業へのアンケート結果です。スマートSMEサポート制度とは、中小企業の生産性向上のためITツールを提供するITベンダー等を「情報処理支援機関」として認定する制度です。この制度によりどんなツールをどんな企業に依頼したらよいか分からないという悩みを持つ中小企業が、認定企業から自社に適した依頼先を選定することができます。

アンケートは認定企業がデジタル化に取り組む支援先企業に対して、デジタル化に向けて期待している状況・条件を聞いています。その結果、「デジタル化に向けた明確な目的・目標がある」ことを期待する割合が69.3%と最も多くなっています。次いで「デジタル化のための予算が確保されている」が63.3%、「デジタル化に向けた文化・価値観が定着している」が36.7%となっており、デジタル化に取り組む企業が持つ課題と似たような結果となっています。

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(図表は2021年版中小企業白書より引用)