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中小企業のデジタル化に向けた組織づくり

中小企業のデジタル化に向けた組織づくり

 

事業方針の中にデジタル化の方針や目標を含むことが、企業活動にプラスの影響を与えます。そのデジタル化を推進を組織体制面から見たものが次のグラフです。

グラフからは「全社的に推進している」の割合が47.2%と約半数に達しています。これに対して、「部署単位で推進している」の割合が36.7%となっています。

全社で推進するか、部署単位で推進するかの違いが、企業経営にどのような影響を与え与えているのでしょうか。

 

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全社的にデジタル化を推進している企業では、そのデジタル化への推進が業績に「大きくプラスの影響を及ぼした」が15.6%、「ある程度プラスの影響を及ぼした」が61.0%です。合計76.6%の企業に何らかのプラスの影響がありました。

対して部単位でデジタル化を推進している企業では、「どちらとも言えない」と回答している企業が43.6%も存在しています。部単位レベルでは業績へのプラスへの影響をあまり認識されていないことが伺えます。

 

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業種の違いにより、デジタル化への推進体制による業績への影響が異なるのか調べたのが次のグラフです。

これによるとどの業種でも全社的にデジタル化を推進している企業の方が業績へのプラスの影響を認識していることが分かります。

 

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デジタル化への推進を全社的に行っているにしても、部単位で行っているにしても、そこには課題が生じています。次のグラフではデジタル化推進の課題を「アナログな文化、考え方が定着している」と「明確な目的・目標が定まっていない」に設定し調べたものです。どちらの課題に対しても、部署単位でデジタル化を推進している企業よりも全社的に推進している企業の方が課題として認識している割合が低くなっています。

 

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デジタル化推進を推進体制による生産性の違いを労働生産性で確認します。これによると全社的に推進している企業の労働生産性の平均値は6,690千円/人と最も高く、部単位で推進してる企業では5,575千円/人、デジタル化を推進していない企業では5,228千円/人となっています。全社的に推進している企業の労働生産性は、部単位で取り組んでいる企業の労働生産性の1.2倍、デジタル化に取り組んでいない企業の労働生産性の約1.3倍になっていることが確認できます。

 

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(図表は2021年版中小企業白書より引用)