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中小企業のデジタル化の推進と経営者

中小企業のデジタル化の推進と経営者

 

 企業内の意識を変えていくためには経営者の存在は大きなものです。ここではデジタル化推進に向けた経営者の関りを見ていきましょう。

デジタル化の推進に対する経営者の関与について、2021年版中小企業白書よりデータを紹介します。これによると「経営者が積極的に関与している」企業が31.9%存在しています。また「システム部門や現場の責任者などに一任しており、経営者は関与していない」企業は20.1%存在しています。

 

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経営者の関与がデジタル化推進による業績への影響にどのように働いているのでしょうか。次のグラフで確認すると、「経営者が積極的に関与している」企業では、「大きくプラスの影響を及ぼした」が18.2%、「ある程度プラスの影響を及ぼした」が56.8%とプラスになっている企業は7割を超えています。一方、「システム部門や現場の責任者などに一任しており、経営者は関与していない」企業では、56.9%も「どちらとも言えない」と回答しています。

 

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業種別にデジタル化推進に対する経営者の関与度について、デジタル化推進による業績への影響を調べたものです。どの業種においてもデジタル化の推進に経営者が「積極的に関与」している企業が、「システム部門などに一任」している企業より、業績にプラスの影響を及ぼしていることが分かります。


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 デジタル化に向けた課題において、アナログな文化・価値観の定着とデジタル化への明確な目的・目標が定まっていないことが挙げられていました。これらの課題とデジタル化推進に対する経営者の関与を調べたのが次のグラフです。

グラフからは、「経営者が積極的に関与している」企業の方が「アナログな文化・価値観が定着している」、「明確な目的・目標が定まっていない」と感じる割合が少ないことが見て取れます。 

 

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 デジタル化推進に呈する経営者の関与度と労働生産性の関係は、どうなっているのでしょうか。次のグラフで確認すると、「経営者が積極的に関与している」企業の労働生産性の平均値は6,440千円/人です。「システム部門や現場の責任者などに一任しており、経営者は関与していない」企業では、5,581千円/人となっています。

経営者の関与度の違いが、労働生産性の違いにも現れています。

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デジタル化の推進を業績に反映させるには、経営者自らがデジタル化に関わっていくとが重要と考えられます。

 

(図表は2021年版中小企業白書より引用)