中小企業のデジタル化に向けた方針の策定
今やデジタル化は重要な経営課題ですが、企業は事業方針を策定して活動しています。
その事業方針において、中小企業はどんなことを最も重視しているのでしょうか。
2021年版中小企業白書では、業種別に次のデータを紹介しています。全産業では「
新たな事業・商品・サービスの創出」が51.0%と最も高くなっています。次いで「取引関係の構築・改善」が27.1%、「組織管理体制の見直し」が21.9%となっています。
業種別に見ても建設業以外の業種では「新たな事業・商品・サービスの創出」が最も高い項目となっており、宿泊業・飲食サービス業では73.3%と非常に高い割合となっています。
事業方針に続いて、デジタル化において最も重視する項目を調べたのが次のグラフです。全産業では、「経営判断・業務プロセスの効率化、固定費の削減」が47.8%と最も高く、次いで「新たな事業や商品・サービスの創出と改善」が36.1%、「サプライチェーンの最適化、生産プロセスの改善」が11.1%となっています。
業種別に見ても「経営判断・業務プロセスの効率化・固定費の削減」が高い割合を占めており、自社内でデジタル化の効果を活用しようという狙いが見えます。
では事業方針の立案にデジタル化の方針を含んでいる企業は、どの程度存在するのでしょうか。次のグラフは業種別に事業方針にデジタル化の方針・目標が含まれているか否かを調べたものです。
情報通信業以外の業種では事業方針の中に、デジタル化の方針・目標が含まれていない企業の割合が含まれている企業よりも多い割合になっていることが確認できます。
では事業方針にデジタル化の方針を含んでいるか否かで業績に差が出ているのでしょうか。次のグラフで確認すると、「事業方針の中にデジタル化の方針・目標が含まれている」企業では、「大きくプラスの影響を及ぼした」が14.5%、「ある程度プラスの影響を及ぼした」が61.4%となっています。合わせると75.9%の企業がプラスの影響があったと答えています。
一方、「事業方針の中にデジタル化の方針・目標が含まれていない」企業では、「どちらともいえない」が51.5%と最も多い回答となっています。
更に事業方針の中にデジタル化の方針・目標が含まれているか否かで、労働生産性に差があるのかを調べたのが次のグラフです。「事業方針の中にデジタル化の方針・目標が含まれている」企業の方が、労働生産性が高いことが確認できます。
デジタル化を経営課題として認識し、事業方針の中にデジタル化の方針や目標を含めることが企業経営にプラスの影響を与えていることが分かりました。
(図表は2021年版中小企業白書より引用)