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ITツール・システムの導入状況

ITツール・システムの導入状況

 

2022年版中小企業白書では、ITツール・システムを4つの目的に分けてその導入状況を調査しています。

4つの目的とは①コミュニケーション、②バックオフィス、③セールス、④サプライチェーンであり、それぞれの代表的なITツール・システムは下記の表にまとめられています。

 

 

まずはコミュニケーション分野での導入状況です。業種別のデータです。

 

 

全産業では「感染症流行前(2019年)より本格的に導入」が30.2%、「感染症流行後(2020年)より本格的に導入」が30.8%と同程度です。また「導入していないが、導入を検討している」まで含めると7割を超えており、感染症の流行によりコミュニケーションを目的としたITツール・スステムの導入が進んでいることが伺えます。

業種別に見ると情報通信業や学術研究専門・技術サービス業ではITツール・システムの導入が進んでいる業種と、宿泊業・飲食サービス業や生活関連サービス業の様に導入が進んでいない業種との差が目につきます。

続いてバックオフィス分野での導入状況です。

 

 

全産業では54.0%の企業が「感染症流行前(2019年)より本格的に導入」と答えており、この分野では早くからITツール・システムへの投資が行われていることが分かります。

業種別に見ると、宿泊業・飲食サービス業や生活関連サービス業などは他業種と比べて導入している企業の割合は低いですが、業種間のバラつきはコミュニケーション分野と比べてそれほど大きくはないようです。

セールス分野の導入状況は下のグラフで確認できます。

 

 

全業種では導入済みの企業と導入を検討している企業を合わせても6割に留まっています。この分野では情報通信業や学術研究専門・技術サービス業ではなく、卸売業や小売業での導入が進んでいます。競争力の強化のため、顧客データの利活用に積極的に取り組んでいるようです。

またコミュニケーション分野やバックオフィス分野と比べて、「導入する予定はない」の回答割合が高いことが分かります。

4つ目のサプライチェーン分野での導入状況です。

 


全業種で見た場合、導入している企業は3割に満たない状況です。「感染症流行後(2020年)より本格的に導入」は4.0%しかなく、感染症の流行がITツール・システムの導入の機会になっていないことが分かります。

業種別に見ると、セールス部門で高い割合を示した卸売業と小売業に加えて製造業も導入が進んでいます。この部門では、セールス部門と同様に「導入していないが、導入を検討している」の回答割合が高く、今後の動向が気になるところです。

4つの目的に則してITツール・システムの導入状況を見てきましたが、それぞれ単独の目的で導入しているのか、複数の目的で導入しているのかにより業務の効率化に差があるのかを確認したのが下のグラフです。

 

 

複数の目的での導入、それも目的が多いほど業務効率化を実感している割合が高くなっています。白書では、「IT ツール・システムの導入経験・ノウハウが蓄積されたことで、自社のITリテラシーが底上げされ、効果的な活用に寄与しているなど好循環が生まれていることが示唆される」と分析しています。

 

(図表は2022年版中小企業白書より引用)