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デジタル化の優先順位

デジタル化の優先順位

 

感染症の流行は企業間取引にデジタル化の取組をもたらしました。企業活動におけるデータやシステムのデジタル化は今後も進展していくものと思われます。

では実際のところ、企業においてはデジタル化に関してどのような意識を持っているのでしょうか。

 

 

感染症流行前、感染症流行下、現在と「事業方針上の優先順位は高い」と「事業方針上の優先順位はやや高い」との回答の割合が増えています。また感染症の収束後を想定した今後であっても「事業方針上の優先順位は高い」は回答割合が増えています。

片や業種によるものなのか「特に必要性を感じていない」企業が現在でも11.9%存在し、今後でも10.3%存在しているところが目を引きます。

そこで業種別に見た事業方針におけるデジタル化の優先順位です。

 

 

感染症流行前では、「事業方針の優先順位は高い」と「事業方針の優先順位はや高い」と答えた割合が50%を超えているのは情報通信業と学術研究専門・技術サービス業のみでした。しかし、現在では生活関連サービス業・娯楽業以外の業種全てで50%を超えています。今後では情報通信業と学術研究専門・技術サービス業に加えて、卸売業、建設業においても「事業方針の優先順位は高い」と「事業方針の優先順位はや高い」を合わせた割合は70%を超えています。

今後において「特に必要性は感じていない」との回答に着目すると、業種間でのバラつきが大きいことに気が付きます。

下のグラフは今後のデジタル化の優先順位別に見た、感染症流行の前後の労働生産性、手元流動性比率、自己資本利益率比率の変化です。

 

労働生産性においては、「事業方針上の優先順位は高い」企業は顕著にマイナス幅が小さくなっています。

手元流動性比率においては、逆に優先順位が高くなるほど低い値となっています。自己資本比率に関しては、事業方針上の違いによる差はさほど出ていません。このことから白書では「優先順位が低い企業においては、必ずしも財務面の不安がデジタル化の優先度を検討する際の障壁となっているわけではないことが示唆される」と分析しています。

 

(図表は2022年版中小企業白書より引用)