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2021年の日本経済と企業活動(2)

2021年の日本経済と企業活動(2)

 

前回では全産業での業況判断DIを紹介しました。下のグラフは中小企業全体とさらに中規模企業と小規模事業者に分けた業況判断DIです。

 

2009年のリーマン・ショック、11年の東日本大震災、14年の消費税率引き上げなどの要因で何度かDIが降下する局面がありましたが、20年の感染症流行は過去の環境変化をはるかに凌ぐ下降となっています。20年第3四半期から上昇に転じて上下動を繰り返していますが、中規模企業ではかなりの回復を見せているのに対して小規模事業者では鈍い上昇カーブであり規模間での格差を感じさせます。

 

次に業種別に業況判断DIを見てみましょう。

 

いずれの時期も建設業の業況判断DIは他の業種に比べて高い値となっています。逆に小売業はいずれの期間においても他の業種より低い業況判断DIとなっています。2020年第2四半期では建設業を含む全産業で業況判断DIが急降下しており、総崩れの様相です。

 

では実際の企業活動の成果として売上高について確認しましょう。2021年の第1四半期から第4四半期まで業種ごとに売上高の前年同期比を示したものが下のグラフです。

 

 

2021年第2四半期から多くの業種で前年比では売上高が回復していることが確認できます、但し、「宿泊業・飲食サービス業」は第3四半期より再びマイナスに転じています。

 

では感染症流行前の2019年との同期比でみた売上高の推移はどうなっているのでしょうか。

 

 

2019年と比べると、多くの業種で苦戦していることが見て取れます。特に「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」の大きなマイナスが目を引きます。

 

売上高も企業経営の重要な指標ですが、儲けの観点からは経常利益のほうがより重要です。下のグラフは企業規模別の経常利益の推移です。

 

 

リーマン・ショック後回復傾向にあった経常利益ですが、感染症の流行により20年第2四半期に落ち込み21年に入って回復傾向が顕著になってきました。しかしその勢いには大企業と中小企業の間で大きな開きがあります。

 

(図表は2022年版中小企業白書より引用)