2021年の開業・廃業の動向
前回では企業の売上高、経常利益の推移をご紹介しました。では企業活動のスタートである開業とエンドである廃業の動向はどうなっているのでしょうか。2022年版中小企業白書(以下、白書)で確認致します。
下のグラフは廃業件数の推移を示したものです。
2009年からの倒産件数の減少傾向は継続しています。これは政府や金融機関の資金繰り支援策が功を奏したものであり、21年は57年ぶりの低水準である、と白書では紹介しています。
次のグラフは倒産件数を企業規模別に見たものになります。
倒産件数の大部分を小規模企業が占めていることが分かります。片や大企業はほとんどグラフ上に現れていません。
倒産ではない休廃業と解散の件数に関しては、東京商工リサーチと帝国データバンクの2種の統計データがあります。
2021年においては東京商工リサーチのデータでは44,377件であり、帝国データバンクノデータでは54,709件となっています。休廃業・解散のデータの取り方により件数が異なるようです。
ではいよいよ開業と廃業の動向です。下記のグラフで開業率と廃業率を確認しましょう。
開業率は1988年をピークに下降した後、2000年代に入って緩やかに上昇していました。ところが2018年に再び下降しています。直近の2022年では5.1%にまで持ち直しています。
廃業率は2010年からの下降傾向が継続されており、2022年では3.3%となっています。
開業率、廃業率共に今後もこの傾向が続くことが期待されます。
白書では、都道府県別の開業率、廃業率も紹介されいます。
ご参考までに掲載いたします。
開業率が最も高い都道府県は?
8.8%の沖縄です。その後に埼玉、東京、福岡、愛知が続きます。
では最も廃業率が高い都道府県は?
4.0%の大分です。その後に島根、徳島、高知、佐賀が続きます。
では開業率よりも廃業率の方が高い都道府県はどこでしょう。7つあります。確認してみてください。
(図表は2022年版中小企業白書より引用)