マネジメントの第一歩

ビジネスのヒントを綴っています

感染症の流行と事業承継

感染症の流行と事業承継

 

 2021年度中小企業白書のテーマの一つは、感染症の流行が企業経営にどのような影響を与えたのかを明らかにすることです。その影響は企業の業績だけでなく、事業承継にも及びます。

次のグラフは大同生命保険株式会社の「大同生命サーベイ(2020年9月」に基づく感染症の流行が、事業承継の考え方や方向性にどのような変化があったかを調べたものです。すると16.1%の経営者に心境の変化があったことが分かります。

 

 

f:id:utann:20210630124418j:plain

 

では具体的にどのような変化があったのでしょうか。

「事業承継の時期を延期したい」が32.5%、次いで「事業承継の時期を前倒ししたい」が27.4%となっています。想定していた事業承継の時期を、前後にずらす様子が見えます。また事業承継を諦めたのか「廃業へ転換したい」との回答も7.8%存在しています。

 

f:id:utann:20210630124022j:plain

 

次のグラフは、事業承継の意向別に感染症の流行による事業承継の考え方や方向性の変化を調べたものです。「心境に変化があった」と答えた割合は「事業承継に向け、譲渡・売却・統合(M&A)を検討」している企業で32.4%、「事業承継したいが、候補者なし」の企業で24.7%存在しています。

 

f:id:utann:20210630124433j:plain

 

事業承継は企業にとって大行事です。適切な時期に適切な後継者に承継することが望ましいのですが、感染症の流行は事業承継の方向性や時期に変更をもたらしているようです。

(図表は2021年版中小企業白書より引用)