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感染症の流行と企業間取引

感染症の流行と企業間取引

 

2022年版中小企業白書では、感染症の流行が企業間取引に与えた影響に関するデータをいくつか紹介しています。

まずは業種別に見た、感染症流行下での販売先数の変化です。

 

 

目につくのはどの業種でも2割以上の企業が「減少した」と回答していることです。やはり感染症の流行は企業活動にマイナスの影響を与えていたようです。「増加した」と回答している企業が1割にも達しませんが、存在していることは明るい材料です。

その販売先を増加させた企業はどのような取組を行っていたのでしょうか。

 

 

サービス業とその他の業種では「既存事業で域内(従来の商圏内)の販路を拡大」の回答の割合が7割を超えています。製造業でも約6割の回答ですが、「既存事業で域外への販路を拡大」と「新規事業に進出し、販路を拡大」がサービス業等よりも多い回答割合となっています。

感染症の流行は、これまでの営業のあり方を変えてしまいました。営業部員や顧客双方が接触を避けるため訪問を制限したり、面談をオフラインからデジタル技術を活用したリモートで行うことが一般化しました。

下のグラフでは、感染症の流行が企業間取引にもたらしたデジタル化の状況を示しています。

 

 

リモート商談では、感染症が流行した「2020年に対応」と「2021年に対応」を合わせると42.0%になります。「2019年以前から対応」が9.0%ですから、感染症の流行により一気に普及したことが分かります。

一方、電子受発注に関しては「2019年以前から対応」が39.3%と既に普及しており、感染症が流行した「2020年に対応」と「2021年に対応」を合わせても9.2%に過ぎません。電子受発注に関しては、EOSやEDIなどのシステムが以前から利用されていました。リモート商談に関しては、感染症の流行によりZOOMやMicrosoft Teamsの利用が一気に普及しています。

またリモート商談にしても電子受発注にしても、約4割弱の企業が「当面対応の予定なし」と回答しているのは興味深いところです。

では企業間取引においてデジタル化に対応したことにより、どんな効果があったのでしょうか。

 

リモート商談では商談先に移動することが少なくなってので「出張コストを減らすことができた」が76.5%と最も多い回答であるのは納得です。次いで多い回答が「遠方の取引先との交渉が可能になった」が54.6%であり、リモート商談ならではの積極的な効果と言えます。

また電子受発注では「生産性が向上した」が41.8%、「業務の定型化・マニュアル化が可能になった」が39.9%と高い値となっており、業務の効率化が進んだことが分かります。

 

(図表は2022年版中小企業白書より引用)