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感染症下の事業再構築

感染症下の事業再構築

感染症の流行により業績が悪化した中小企業の中で、これまでの事業の在り方を再検討した企業もあります。2022年版中小企業白書では、「中小企業は事業環境の変化に応じ、自社が競争優位に立てる事業領域へ進出することが必要であり、事業再構築は、足元の事業継続だけでなく、事業の成長にも寄与する点でも重要である」と事業再構築の重要性を説いています。

では実際、どれくらいの中小企業が事業再構築を行っているのでしょうか。

 

「既に行っている」と回答した企業は12.7%存在しています。また「1年以内に行う予定」と回答した企業が9.8%存在しますので、合わせると22.5%の企業が事業再構築に前む向きなことが伺えます。しかし一方、事業再構築を行う予定もない企業が77.5%も存在しています。

尚、ここでは事業再構築を行っている企業は、事業再構築補助金の申請を行っている企業や採択された企業を意味しているわけではありません。

事業再構築を行うのか行わないのか。その意識の違いに業種間での差はあるのでしょうか。

 

「既に行っている」と「1年以内に行う予定」を合わせると、宿泊業・飲食サービス業、小売業、生活関連サービス業が高い業種となっています。これらの業種は感染症の流行により売上減少した代表的な業種です。苦しい中でも会社を継続させるため、事業再構築に取り組んでいる姿が浮かびます。

次は事業再構築のためにどのような取組を行っているのかを見てみましょう。

 

「既存の市場・販路×新規の製品・商品・サービス」が41.8%と最も多い取り組みとなっています。一方、「新規の市場・販路×新規の製品・商品・サービス」も26.4%も存在しており、事業再構築に果敢に取り組み様子が伺えます。

その事業再構築によって、どのような効果があったのか。気になることろであり、まずは売上面での効果を確認しましょう。

 

34.9%の企業が「既に効果が出始めている」と答えています。「まだ効果は出ていないが、1年以内に効果が出る見込み」と「まだ効果は出ていないが、数年以内に効果が出る見込み」と回答した割合まで合わせると、96.0%になります。売上げにおいては、ほとんどの企業に効果が期待できるようです。

事業再構築の効果として、売上面以外にどのような効果があるのでしょうか。下のグラフで確認しましょう。

 

「既存事業とのシナジー効果」を挙げている企業が38.5%も存在します。取り組み内容で最も多かった回答が「既存の市場・販路×新規の製品・商品・サービス」でしたので、納得できる結果です。また「従業員の意欲・能力向上」が26.7%、「技術力・製品開発力の向上」が22.5%であり、将来が楽しみな結果と言えるのではないでしょうか。

 

(2022年版中小企業白書より引用)