マネジメントの第一歩

ビジネスのヒントを綴っています

成長企業の経営者のリスキング

成長企業の経営者とリスキング

 

2022年版中小企業白書では、経営者が学習時間を意図的に確保している企業の方が、売上高増加率の水準が高い傾向にあることや、経営者が学習した内容を経営や業務で実践することの重要性を指摘していました。

その上で近年進むデジタル化により企業が求める人材も大きく変化し、その人材を率いて経営戦略を実行する経営者に求められるスキルも変化していると考えられます。

そこで、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要とされるスキルを獲得すること、つまりリスキングに取り組む経営者に関して2023年版中小企業白書では調査しています。

まずは経営者のリスキングへの取り組み状況です。

 

 

44.6%もの経営者がリスキングに取り組んでいます。

その取り組み内容を確認しましょう。

 

 

書籍・セミナー受講等による知識の収集」が75.2%ともっとも多く、次いで「社外での勉強会への参加」が57.4%となっています。「新しいツール・設備の導入やプロジェクトを通じた学習と実践機会の確保」や「新しいスキルに関する資格取得」などより簡便に取り組める内容が多いことが確認できます。
ではそのリスキングへの取組が売上高にどのような影響を与えているのでしょうか。

 

 

経営者がリスキングに取り組んでいる企業の方が、取り組んでいない企業よりも売上高増加率が高いことが確認できます。経営者がリスキングに取り組む重要性が示唆されています。

このようにリスキングに取り組んでいる経営者ですが、自社の役員や社員に対してもリスキングの機会を提供しているのでしょうか。

 

経営者自身がリスキングに取り組んでいる企業のほうが取り組んでいない企業よりも、役員や社員にリスキングの機会を提供している割合が大きく違うことが分かります。白書では、全社的なリスキングの機運醸成には、まず経営者自身がリスキングに取り組むことが重要であると分析しています。

その役員・社員に提供しているリスキングの機会として、どのようなものがあるのか見てみましょう。

 

やはり「書籍・セミナー受講等による知識の収集」が63.1%、「社外での勉強会への参加」が58.1%」と高い値を示しています。またここでは新しいスキルに関する資格取得」も54.7%と高くなっています。経営者では「新しいスキルに関する資格取得」は27.2%でしたので、約2倍の値です。資格取得は時間を要する取組みですので、成長企業は長期的な観点から役員・社員へのリスキングの提供を実施しています。

 

(図表は2023年版中小企業白書より引用)