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中小企業のイノベーション

中小企業のイノベーション

 

2023年版の中小企業白書では、中小企業がイノベーションに取り組む姿を紹介しています。イノベーションには様々な形態がありますが、典型的なのは研究開発活動でしょう。

まずは企業規模別、業種別に見た研究開発費と売上高比研究開発費の推移を見てみましょう。

 

 

大企業、中小企業ともに製造業においては研究開発費が上昇傾向にあります。しかし、売上高比研究開発費で比べると、大企業の製造業は約6%であるのに対して中小企業の製造業では1%もありません。大きな開きがあることが確認できます。

 

次に従業員規模別にどのようなイノベーションを実現しているかを見たデータです。

 

 

2017年から2019年までの3年間のイノベーションの実現状況であり、ここではイノベーションをプロダクト・イノベーションとビジネス・プロセス・イノベーションに区分して調査しています。従業員規模が大きいほどイノベーションを実現していることが分かります。プロダクト・イノベーションでは、大規模企業は中規模企業、小規模企業の2倍以上の割合となっています。しかし、ビジネス・プロセス・イノベーションではそこまでの差になっておらず、中規模企業、小規模企業もビジネス・プロセス・イノベーションに取り組んでいる姿が見て取れます。

 

では、イノベーションに取り組むことで、どのような効果を得ることができたのでしょうか。

 

ここでは競合他社が導入していない全く新しい取り組みを「革新的なイノベーション」と定義づけて調査しています。その結果、「競合との差別化」、「販路拡大(海外・国内)」、「顧客満足度向上」においては、「革新的なイノベーション活動に取り組んでいる」企業のほうが高くなっています。

一方、「既存業務の効率化」、「コスト削減」、「社員の能力向上」に関しては、「革新的ではないがイノベーション活動に取り組んでいる」企業のほうが高くなっています。

このことから「革新的なイノベーション活動に取り組んでいる」企業は外部環境に効果をもたらしていますが、「革新的ではないがイノベーション活動に取り組んでいる」企業のほうは内部環境に効果をもたらしていることが分かります。

 

(図表は2023年版中小企業白書より引用)