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中小企業のオープンイノベーションへの取り組み(1)

中小企業のオープンイノベーションへの取り組み(1)

 

近年、外部経営資源の活用の一環として、オープンイノベーションへの取り組みが進んでいます。

まずは外部の組織と連携する目的を確認いたしましょう。

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製造業、非製造業ともに「外部の専門ノウハウを活用するため(効率化やスピード・品質の向上)」が最も高い値になりました。次いで「自社の中心業務にリソースを集中するため」が続いています。「他社と共同して、規模の経済を享受するため」では非製造業の方が製造業よりも高い値を示していますが、サービス業や小売業の方が業態的に他他社と共同することで仕入れ価格の低減や市場拡大など規模の経済を発揮しやすいことが考えられます。

 

ではオープンイノベーションの取り組み状況です。

2020年度版中小企業白書では、その取り組みを次の3つに分類しています。

①アウトサイドイン型(外部技術を自社内に取り込み連携をする)

インサイドアウト型(自社の技術・知識を社外に発信することで連携を促す)

③多対多の連携型(広く連携先を募り共同開発をしていく)

次のグラフは製造業、非製造業別に各類型の実施割合を調べたものです。

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3つの類型の中では「アウトサイドイン型」が製造業も非製造業も最も高くなっています。先程の外部連携を活用する目的では、「外部の専門ノウハウを活用するため(効率化やスピード・品質の向上)」が最も高い値でしたので、その調査結果からもうなずけます。

しかし全体的にはまだまだオープンイノベーションに取り組んでいない企業の方が多いのが実態です。

 

では、今後オープンイノベーションはどうなっていくのでしょうか。

ここでオープンイノベーションへの今後の取り組みの意向を確認しましょう。

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「アウトサイドイン型」で製造業が44.7%、非製造業が37.7%の企業が取り組む予定である、と回答しています。今後、オープンイノベーションが一般化していくことが予想されます。

オープンイノベーションへに取り組んだ企業にはどんな効果があったのでしょうか。

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製造業では多い順に「知識・ノウハウの蓄積に効果があった」「新規の技術開発や製品・サービス化に成功した」「新たな顧客ニーズの発見につながった」となっています。

非製造業では、最も多いのは製造業と同じく「知識・ノウハウの蓄積の効果があった」ですが、次に多いのは「人材育成につながった」であり「新たな顧客ニーズの発見につながった」と回答しています。非製造業の方が「人材育成につながった」の回答が多かったのは、製造業よりも非製造業のほうが労働集約的であることが背景にあるのかも知れません。

 

(図表は2020年度版中小企業白書より引用)