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デザイン経営への取組

デザイン経営への取組

 

デザイン経営とはデザインを活用した経営手法のことです。ここでいうデザインは、ブランドの構築に資するデザインとイノベーションに資するデザインの2種のデザインを意味します。デザイン経営に取組むことで企業価値を向上させ競争力を強化することができます。2018年に経済産業省特許庁が「デザイン経営宣言」を行い、その推進を行っています。

デザインを経営戦略の中心に据えている企業として、アップル、ダイソン、良品計画マツダスリーエム、IBMなどが挙げられます。では中小企業にはどの程度認知され浸透しているのでしょうか。

 

どの認知状況かに関わらず「既に取り組み、定着している」と「既に取り組み始めているが、定着していない」を合わせても12.2%に過ぎません。また取り組み内容に関わらず「元々知っている」企業は13.7%であり、その他は関心があるかないかはともかく、本調査によって初めて知った程度の認識です。

まだまだ中小企業にはデザイン経営は知られていないのが実情のようです。

しかし認知状況に関わらず「既に取り組み、定着している」と回答した企業が5.8%存在しています。これらの企業はどのような体制でデザイン経営に取り組んでいるのでしょうか。

 

「経営者がデザイン責任者」が63.4%、「経営者以外の経営層がデザイン責任者」が30.2%となっています。デザイン経営を進めるには経営者を始めとした経営層の関与が重要と言えそうです。

また「デザイナーなど社外の専門人材との連携」が20.0%、「大学などと連携」が3.2%、「デザインの支援機関に相談」が2.0%ほどあり、経営資源に限りのある中小企業では外部との連携もデザイン経営を進める一つの方法です。

実際、デザイン経営に取り組むとどのような効果を得ることができるのでしょうか。

 

 

先に述べたようにデザイン経営では、ブランドとイノベーションの両面で企業価値向上を目指します。アンケートの結果もブランドにおける効果である「企業ブランドの構築やブランド力の向上」が69.0%と最も高く、次いでイノベーションにおける効果である「魅力ある商品・サービス・事業の創出」が53.1%の回答となっています。

前回、ブランドの構築・維持が、企業経営に与える影響を取引価格への寄与で確認しました。デザイン経営への取組状況によって、その寄与の程度は異なってくるのでしょうか。

 

「既に取り組み、定着している」企業では22.7%が「大いに寄与している」と回答し、47.0%が「ある程度寄与している」と回答しています。デザイン経営が、競争力の強化に役立っていることを示すデータとなっています。

 

尚、デザイン経営に関しては、下記の特許庁のHPにて中小企業向けのハンドブックが公開されています。ご興味をお持ち頂ければ、ご一読願います。

www.jpo.go.jp

(図表は2022年版中小企業白書より引用)