大数の法則
試行の数を多くすればするほど、特定の事象が発生する確率が理論値に近づく現象。
【解説】
コインを投げるという試行を行うとします。数回の試行であれば表が続て出ることもありますが、これを無限に増やしていくと表の出る確率は理論値である1/2に近づいていきます。サイコロであれば、数多く振れば振るほど「1」が出る確率は1/6に近づいていきます。
ビジネスでの代表例は生命保険です。ひとりひとりの余寿命は予測できませんが、30代、50代という年齢でくくることにより、多くのデータを集めることができ各年代の余寿命を推定することが可能となります。データが多くなれば大数の法則が働きますので、適切な保険料を決めることができます。
【信憑性】
この法則は統計学、確率論における基本定理です。
信憑性に関しては疑う余地がないでしょう。
【適用例】
データが多ければ多いほど実態を把握することができる、と考えれば、大数の法則はビジネスのいろいろな場面で活用できます。
消費者のニーズの調査を行うマーケティングリサーチでは、出来るだけ多くのデータを取得することで実態に応じた調査結果を得ることができます。
勿論、実際には費用との関係で集めるデータ数に制限が生じますが、調査結果の信頼性を高めるには目的に応じた取得データ数を設定する必要があります。
②販売予測
売上高や販売量の予測にも大数の法則が利用されています。
コンビニエンスストアの場合、全店舗の膨大なPOSデータから売れ筋、死に筋の分析を行い、品揃えを決めています。各店舗の売り場面積が限られているため、全店舗のデータを用いて品揃えを行い、販売の予測を行っています。
③品質の向上
製造業では、品質の向上の目的で大数の法則を適用できます。データ数が少なければ、たまたま品質の良い製品あるいは悪い製品ができた可能性が払拭できません。データを多く取得することにより生産工程の実態を把握することができ、品質向上に取り組むことができるようになります。
大数の法則を活用するには、まずデータを収集する必要があります。これからデータを集めるには時間とコストが必要だ、と嘆く必要なありません。データはこれから取得するものに限りません。目的に応じて自社の過去データから利用できるものがないか、見直してみてはいかがでしょうか。