少数の法則
データの数が少ないほど極端な結果を得やすく、それを全体の傾向として見做してしまう心理。
【解説】
少数の法則は、 心理学者のエイモス・トベルスキーと行動経済学で有名なダニエル・カーネマンにより提唱されました。コイン投げで表が続けて出た場合、次も表が出ると思い込んでしまう心理のことです。実際には表が出るか、裏が出るかは1/2の確率です。数多くコイン投げを行えば、大数の法則により表が出るのは1/2の確立となります。しかし、データの数が少ないと、偶然の結果に過ぎないのに何らかの傾向があると主観的に判断してしまうことがあります。これを少数の法則と呼びます。
【信憑性】
少数の法則は、投資においてよく現れる、とされています。「今までこの株の株価が上がってきたから、これからも上がるだろう」あるいは「これからは下がるだろう」
とこれまでの値動きを参考にして投資判断をする場合です。
人間の心理として頷ける法則です。
【適用例】
何らかの意思決定を行う場合に、自分は少数の法則に陥っていないか確認する必要があります。
「80%の人が好ましいと回答している」というデータが示されたとして、果たしてその母数はどれくらいなのか、チェックする必要があります。5人に対して4人が「好ましい」と回答していれば、80%になります。しかし、5人しか調べていないデータにどこまで信頼性があるのか疑問です。
従って、データに接する際には、母数はいくらか、他のデータはないのか、自分に都合の良い主観的な判断をしていないか等に注意を払う必要があります。
あるいは他に使用してる芸能人がいないにも関わらず、「有名な芸能人が使用している製品」などと謳った広告などは、少数の法則を利用した例と言えるでしょう。確かに使用している芸能人が有名であっても、だからと言って他の人もみな使用していることの証明にはなりません。あたかも「多くの人が使用しているので、その中には有名な芸能人もいる」ようなイメージを持たせるような表現には気をつける必要があります。