マネジメントの第一歩

ビジネスのヒントを綴っています

米空軍の意思決定ツール OODAループ

米空軍の意思決定ツール OODAループ(ウーダループ)

Observe 観察

Orient 状況判断

Decide 意志決定

Action 行動

 

OODAループは、アメリカ空軍のジョン・ボイド大佐が提唱した、航空戦に挑むパイロットの意思決定モデルです。戦闘範囲が広く上空で行われる航空戦では、上官の指示など期待できず、パイロットが一人で状況を判断して戦わなければなりません。判断の遅れは死を意味しますので、文字通り命がけの意思決定となります。

その後、パイロット一人の意思決定ではなく戦術レベルや戦略レベルにまで適用されるようになり、更に軍事の分野を離れてビジネスの分野でも使用されるようになりました。OODAループは、以下の手順で進めます。

①Observe 観察

意思決定者が自身を取り巻く環境を観察して、生データを取得する段階。航空戦であれば、パイロット自身の目視、機体の計測機器、地上からのレーダの信号等を使って敵機を察知する段階です。

 

②Orient 状況判断

 Observeの段階で得た生のデータを、価値判断を含んだ情報として認識する段階。ボイドは、この段階を最重要視していました。 

 

③Decide 意志決定

次は、どういう行動を取るか決める段階です。攻撃するのか戦闘から離脱するのか。攻撃するならば、攻撃の手段と順序、そのタイミングを決めます。離脱するならば経路を決め、場合によってはObserveに戻り状況判断に必要な情報を収集します。 

 

④Action 行動

そして意思決定で決められた方針に基づき実際の行動に移ります。

 

観察→状況判断→意思決定→行動で完結するのではなく、行動の結果を踏まえて観察に戻ります。そして状況判断→意思決定→行動と次のループを回していきます。

OODAループは軍事の分野で生まれた思想ですが、今では経営、とくにスタートアップの企業において利用されています。現在の様にテクノロジーの進化がビジネス環境を急激に変化させる時代においては、超高速で飛ぶ戦闘機並みのスピードで意思決定が求められるのです。

管理の方法として似たものにPDCAサイクルがあります。PDCAサイクルは計画から始まるため、その立案に時間を要します。変化のスピードが速い現代では、計画立案の過程で環境が変化してしまい実行段階では既に計画が陳腐化している可能性が否めません。しかしOODAループでは、環境の観察からスタートするため、環境の変化を取り込んで意思決定を行うことができます。

一方、OODAル-プでは、各人の文化的な背景、これまでの経験、分析の力量などが異なるため、それぞれの意思決定に齟齬が生じて組織内に混乱が発生する可能性があります。これに対してPDCAサイクルは、メンバーに周知された計画に従って実行されるため、統一された組織運営が可能です。

 

尚、我が国の陸上自衛隊ではObserveとOrientを明確に定義づけて区分するのは困難であるとして、Infomation(情報)とひとまとめにしたIDAサイクルに改定して運用しています。