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サンクコストの呪縛

サンクコストの呪縛

 既に支出した費用にこだわり、意思決定を誤ってしまう現象。

 

 【解説】

 サンクコスト(埋没原価)とは、既に支出してしまい回収できない費用のことです。既に支出しても自動車の様に中古品市場で販売できるのならば、サンクコストには該当しません。サンクコストが存在すると、回収不可能であるため「これまでの支出がもったいない」という心理が働きやすくなります。過去の支出のこだわると、今後のことに対して正しい意思決定が行えなくなります。

尚、ここでのコストは金銭のみならず、時間や労力も含めた概念です。既に費やした時間や労力も取り戻すことはできないのです。

 

 【信憑性】

 これは誰もが陥ってしまいがちな現象です。典型例はパチンコなどのギャンブルです。

「ここでやめてしまうとこれまでの〇〇万円がムダになってしまう」と考てしまい、ズルズルと勝負を続けた結果、大きく負けが込んでしまうことになってしまいがちです。

またネットでの課金ゲームなどでも欲しいアイテムを手に入れるまで何度でもクジを引く結果、当初思っていた額を超える支払いをしてしまうことがあります。

コンサートのチケットを買ったが、当日、大雨になってしまった。本心は出かけたくないのにチケット代がもったいないので、無理して出かけるような場合にもサンクコストの呪縛が働いていると言えます。

 

【適用例・対策】

ビジネスへの適用としては、サンクコストの呪縛に陥らず、正しい意思決定をする戒めにすることになります。

サンクコストの呪縛に陥らないための方策として、以下の方法があります。

①アラームの設定

予算を執行する機能と予算を管理する機能とを分けておきます。支出の上限を超えそうになると、予算を管理する機能からアラームを発する様に仕組みを作っておきます。意思決定を別々のルートで行うことで、過去の投資にこだわることを防止できます。

 

②ゼロベースで考える

先ほどのコンサートの例ならば、チケットを買っておらず友人から「大雨で行くのをやめたからタダであげる」と言われた、と仮定して考えます。この場合、友人からチケットをもらうのをやめておくのであれば、コンサートに行くべきではありません。過去の出費を一旦忘れて、これからの行動だけに絞って意思決定を行うようにします。

 

機会費用と比較する

機会費用は、ある行動を取ることで別の行動を行ったときに得ることができた利益のことです。これまでのA案を続けることによりB案が実行できない。この場合のB案で得ることができた利益を機会費用と呼びます。B案の利益を得る機会を費用として認識するのです。

A案を進める限りは、B案を採用しない機会費用が発生します。この機会費用をサンクコストと比較することで、A案を継続することの是非を判断します。機会費用を発生させてまで、A案を継続するのか。対比する対象を用いることで、冷静にA案継続の是非を判断できるようになります。

 

勿論、顧客をサンクコストの呪縛に落とし込み、儲けを稼ぐこともできます。上述のゲーム内課金が典型例ですが、倫理的に問題のない範囲でご検討下さい。