イエス・セット
イエスと答える軽い質問を繰り返して、本題の質問にイエスと答えるように誘導する交渉術。
【解説】
人は軽い質問に何度も「イエス」と答えていると、次の質問にも「イエス」と答えてしまう傾向があります。
いきなり本題の質問をしても「イエス」と言ってもらえない可能性が高い場合、
男「昔、イタ飯がはやりましたね」
女「そうですね」
女「そうですね」
男「食べ物の話で思い出すと、食べたくなってきますね」
女「そうですね」
男「そう言えば、駅前に新しいパスタの店ができたのですが、ご一緒しませんか」
女「いいですよ」
と軽い質問でイエスを応えさせから本題の質問をすると、相手から「イエス」を引き出しやすくなるのです。
本題に至る質問は、3回程度は必要だとされています。あまりに多いと質問攻めになってしまい、相手をうんざりさせてしまうでしょう。
しかし上の例は下心バレバレですね。知識と実践は違う、ということでしょうか。
【信憑性】
なぜイエス・セットが有効なのか。人には「一貫性の原理」があり、無意識のうちに自分の言動に一貫性を保とうとします。「イエス」と答える態度を取り続けることで、一貫性を保とうとしているのです。
また「イエス」と答えていることで、相手を同じ趣味や同じ考えの人だと思うことで安心感や共感を持ってしまった結果、本題の質問にも「イエス」と答えやすくなることもあるでしょう。
しかし、イエス・セットを実際に行うのは結構難しいのではないでしょうか。
「イエス」を引き出す質問は自然でなければならず、ワザとらしい質問や誘導尋問みたいな質問では逆に警戒されてしまうでしょう。
またそもそも最初から敵意や警戒心を抱いているような相手では、最初の質問自体に反発してくることもあるかも知れません。
イエス・セットはある程度、信頼関係があるほうが上手く働くようです。
【適用例】
ビジネスでは、営業の場面でイエス・セットの出番があります。
ミッキーマウスの絵柄がプリントされたリックを背負う幼稚園児を連れた親子に対して、教材営業を行う一場面。
教材営業「お嬢ちゃんはミッキーが好きなのかな?」
親子連れ「そうですよ」
教材営業「小学校では3年生から英語教育が始まりますね」
親子連れ「そう聞いてます」
教材営業「英語教育は早く始めたほうが良いですよね?」
親子連れ「そうでしょうね」
教材営業「ミッキーが英語を教えてくれる教材があります。サンプルを見ませんか?」
親子連れ「見るだけなら・・・」
もちろんサンプルを見てもらうことが目的ではありません。
サンプルを見てもらえば、次はフット・イン・ザ・ドア・デクニックの出番です。