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IT投資の現状

IT投資の現状

 

2020年度ものづくり白書では、日本の製造業のIT投資の現状も分析しています。

まずは日米でのIT投資の現状比較です。

 

               IT投資における日米比較

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日本では「業務効率化/コスト削減」が1位であるのに対し、米国では「ITによる製品/サービスの開発」が1位です。傾向として日本では守りのIT投資が活発であり攻めのIT投資はあまり行われておらず、米国では攻めのIT投資が活発であり守りのIT投資投資はあまり行われていないことが読み取れます。

このことは日本の製造業を対象にしたIT投資の目的を調査した次のグラフでも確認できます。

                 IT投資の目的

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「業務の効率化やコスト削減」が78.7%と突出して高く、次いで「旧来型の基幹システムの更新や維持メンテナンス」が58.5%となっています。一方、「ビジネスモデルの変革」が10.5%、「新製品・サービスの提供」が10.6%と低い値になっています。

この結果から白書では、業務効率化、コスト削減、安定稼働、品質管理は与えられた経営資源を活用するオーディナリー・ケイパビリティであり、ダイナミック・ケイパビリティを高めるためにもIT投資を行うことの重要性を説いています。

ダイナミック・ケイパビリティの3つの能力である「感知」「捕捉」「変容」のそれぞれにIT投資は有効です。

「感知」では、デジタル技術を活用したデータの収集・分析が環境や状況の変化を予測し、不確実性を低減させます。

「捕捉」では、デジタル技術を活用してリアル・タイムのデータの収集・分析、顧客データの収集・分析、顧客サービスの提供、製造業の変種変量生産やカスタマイゼーションが実現できます。

「変容」では、デジタルトランスフォーメーションにより組織全体を刷新し競争力を持続的なものにすることができます。

 

日本の製造業においては、デジタル技術を徹底的に活用してダイナミック・ケイパビリティを向上させることが不確実性の高い時代における有効な戦略なのです。

 

(図表は2020年度版ものづくり白書より引用)