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ものづくり中小企業の強み

ものづくり中小企業の強み

 

 人材の育成・能力開発が課題であるものづくり中小企業ですが、では強みとしてはどのようなことが挙げられるのでしょうか。

次のグラフはものづくり中小企業からその強みを回答してもらった結果です。

 

             自社の強みの認識(複数回答)

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 「柔軟に顧客のニーズに対応できる(多品種少量生産など)」が47.8%と最も多く、次いで「高度な熟練技能をもっている」31.3%、「優良企業の下請企業の主力となっている」28.9%、「極めて短い納期に対応できる」19.5%と続きます。熟練技術を背景に、多品種少量生産、短納期等の顧客ニーズに対応している姿が確認できます。

 

 次に競争力を高めるためにどのような取り組みを行ってきたのか、今後どのような取り組みが重要だと思っているのか、を「効率化施策」、「高付加価値施策」、「売上向上施策」の3点から確認します。

まず「効率化施策」です。

これまでの取り組みでは「改善の積み重ねによるコストの削減」が60.4%、「改善の積み重ねによる納期の短縮」が42.6%と高い値を示してます。

今後の取り組みでも「改善の積み重ねによるコストの削減」が57.6%、「改善の積み重ねによる納期の短縮」が41.6%と上位2項目は変わりません。

しかし、「製造・生産等へのICTなどのデジタル技術の積極的な活用」が36.5%となっており、これまであまり取り組んでこなかったデジタル技術の導入への意欲を感じることができます。

 

「高付加価値施策」です。

これまでの取り組みでは「従来の製品やサービスに付加価値を付与した製品やサービスの提供」が42.9%と最も高く、「高度な熟練技能を活かした他社にはできない加工技術や作業工程の確立」27.6%、「従来の技術に付加価値を付与した新技術の開発」25.5%、「これまでにない革新的な新製品やサービスの提供」22.8%、「これまでにない革新的な技術の開発」21.0%と続きます。

今後の取り組みでも「従来の製品やサービスに付加価値を付与した製品やサービスの提供」が42.3%と最も高くなっています。

2位以下を見てみると、「従来の技術に付加価値を付与した新技術の開発」が37.5%、「これまでにない革新的な技術の開発」37.2%、「高度な熟練技能を活かした他社にはできない加工技術や作業工程の確立」36.8%、「これまでにない革新的な新製品やサービスの提供」36.3%と2位から5位まではほとんど差が出ない結果となりました。

 

競争力を高める取り組みの最後に「売上向上施策」を見ます。

これまでの取り組みでは、「単品、小ロットへの対応」46.6%、「優良企業からの受注の獲得・拡大」41.0%、「営業力の強化」38.3%が上位3となりました。

今後の取り組みでは、「営業力の強化」が51.5%と飛びぬけて高く、「優良企業からの受注の獲得・拡大」37.8%、「単品・小ロットへの対応」31.6%と続いています。

営業力を強化して、優良顧客を開拓していきたいという意欲が読み取れます。

 

 2020年版ものづくり白書では、製造工程を細かく見て、どんな作業が重要であるかを調査しています。

 

     主力製品の製造に当たって重要となる作業と5年後の見通し 

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 主力製品の製造に当たって重要な作業として、「測定・検査」が37.6%、「切削」35.2%、「機械組み立て・仕上げ」33.1%、「製罐・溶接・板金」29.8%が高い値を示しています。これらの作業は5年後の見通しとしても「機械に代替される」「工程自体がなくなる」「海外調達に変わる」は低く、過半が「これまで通りの熟練技能が必要」と回答しています。

これらの作業における技術の伝承が必要となっています。

 

(図表は2020年度版ものづくり白書より引用)