返報性の原理
人は借りがあると感じると、お返しをしないといけないと思う。
【解説】
人は社会的な動物であり、共同生活を送るためには自分一人だけが得をするわけにはいきません。相手に何かをしてもらえば、そのお返しをしないといけない。
返報性の原理(へんぽうせいのげんり)は、至って自然な人間の心理です。
【信憑性】
「恩を受けたら返す」というのは、社会で生きていく一種の掟です。恩を受けても返さなければ、「恩知らず」と呼ばれてしまいます。恩を返すどころが相手に不利益をもたらせば「恩を仇で返す」とまで言われてしまいます。
勿論、恩を受けても恩とも思わない人はいるでしょう。人から何かをしてもらっても感謝もしない傲慢な人はともかく、常識人であれば返報性の原理は有効です。
【適用例・対策】
ビジネスでは様々な場面で返報性の原理が応用されています。
よく例にあげられるのが試食です。試食はあくまで試食でしから、必ずしもその商品を購入する必要はないのですが、試食しただけでその場を去るのは心苦しいと感じます。そもそも無料でのお試しですから、そのままその場を去っても食い逃げにはなりませんが、なんとなく購入しないと場をはなれにくい気持ちになります。
交渉術のドア・イン・ザ・フェイスも返報性の原理の応用です。最初に大きな要求をして、わざと断らせることで相手に「断ってばかりで悪いな」と負い目を負わせます。そして、徐々に要求のレベルを下げることで「それくらいならいいか」と思わせて本来の要求を呑ませる手法です。
「ギブ・アンド・テイク」の言葉通り、まずこちらから相手に何かを与えることが返報性の第一歩となります。逆に言うと、何かを渡してくる相手には下心がある可能性が大です。
「タダほど高い物はない」という言葉もあります。うかつに相手から何かを受け取ると、後で後悔することになるかもしれません。ご注意を・・・。