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ピグマリオン効果

ピグマリオン効果

 他者から期待されることにより、当人の成長が高まる効果。

 

【解説】

ピグマリオン効果は、1964年に米・教育心理学者のロバート・ローゼンタールによる実験から導かれました。ピグマリオンとは、ギリシャ神話に出てくる王様の名前です。ピグマリオン王が恋焦がれた女性の彫像を、アフロディテ神がその願いを叶えて人間にしたという伝説に由来しています。

ローゼンタールは、サンフランシスコの小学校で普通の知能テストを生徒に実施します。しかし、担任の教師にはハーバード式突発性学習能力予測テストであると説明し、テストの結果として今後数か月に成績の伸びてくる生徒のリストを見せます。実際には無作為に選んだ生徒のリストでしたが、この生徒は成績が伸びると期待を込めて教師が見ていたところ、確かに成績が向上したのです。ローゼンタールは、これを教師が期待を込めて生徒に接したため、生徒も教師の期待に応えようと成績を向上させた、と解釈したのです。

 

【信憑性】

ローゼンタールの実験方法には多くの批判もあります。リストを見た教師はざっと見ただけであり生徒の名前は憶えていない、と言い、他の研究者の実験では再現できなかったと否定されています。

ピグマリオン効果は、あくまで教育者の心構えにすぎない、との意見もあります。

 

【適用例】

 以下は、人材育成にピグマリオン効果を導入した例です。

①上司や部下に期待していることを伝える。

②部下は、上司の期待に応えようとやる気をだす。

③部下は創意工夫して業務を行い、その報告を上司に行う。

④部下から報告を受けた上司は、更に部下の指導に力を入れる。

 

このように良い方向に向かうスパイラルが発生することが望めます。

この場合、重要となるのは「期待」です。あまりに過大な期待であったり、一方的な期待を押し付けることになれば、逆に部下はやる気をなくしてしまうこともあります。

期待は、相手の能力に応じた課題であること、押し付けではなく裁量を与えて相手の主体性を引き出すようなものでなければなりません。

また部下が期待に応えられなかった場合、感情的に怒ったりするのも逆効果を生みます。

 

たとえ指導者の心構えに過ぎないとしても、期待を持って部下と接することはマイナスには作用しないでしょう。