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ダニング=クルーガー効果

ダニング=クルーガー効果

 能力の低い人が自分を過大評価する傾向。

 

【解説】

 コーネル大学の心理学者であるディビィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーの研究により提唱された心理学的現象です。学生に演繹的思考、帰納的思考、英文法、ユーモア等を自己評価させたところ、下位グループに属する者ほど自分の能力を高く評価する結果が出ました。これは次のような原因が考えられます。

①自分の能力が不足していることが認識できない

②能力の不足の程度が認識できない

③他者の能力を推定できない

一方、高位グループに属する者は自分の能力を低く見積もる傾向がありました。自分にとって簡単であった課題は他人にとっても簡単であった、と推測したことによると考えられます。

 

【信憑性】

 心理学者の実験に裏付けされていることは勿論、どんな職場にも、いくら注意しても調子のよい返事をするだけで、同じミスを何度も繰り返してしまう部下がいるでしょう。それが能力の低いものほど顕著である、というのですから厄介です。

 ダニング=クルーガー効果については、経験的に納得できるかと思います。

 

【適用例・対策】

自分の能力を正確に判断させるには、口頭で指摘するだけでは不十分であり、実際に訓練を積ませる必要があります。自分の能力不足、未熟さを身を持って知ることで向上心も生まれてくるでしょう。

また自分自身がダニング=クルーガー効果に陥っていないか、自己チェックする必要があります。誰しも車の運転には相当の自信を持っているでしょう。対向車や後続車の運転にイラッとすることもありますが、自身の運転はどうなのか。冷静に評価できますか?