アルダフィーのERG理論

アルダフィーのERG理論はマズローの欲求５段階説の発表後の研究による結果です。

それぞれの欲求の詳細とマズローの欲求5段解説との関係は、以下の通りです。

①Existence　生存欲求

生理的、物理的な欲求。職場の賃金、労働条件、労働環境なども含みます。

5段階欲求の「生理的欲求」及び「安全の欲求」のうちの物理的な安全欲求に該当します。

②Relatedness　関係欲求

周囲の人々と良好な関係を築きたいという欲求。他者からの尊敬、社会的地位への欲求も含みます。

5段階欲求の「安全の欲求」の対人的な安全欲求、「所属と愛の欲求」そして「承認欲求」のうちの対人的な承認欲求に該当します。

③Growth　成長欲求

人間として成長したいという欲求。充足されれば自己達成感を得ることができます。

5段階欲求の「承認欲求」のうちの自己確認の承認欲求及び「自己実現の欲求」に該当します。

マズローの５段階説は、ピラミッド構造であり下位の欲求が満たされれば上位の欲求が現れると考えます。そして一旦上位の欲求に移れば、下位の欲求に戻ることはない、としています。つまり不可逆です。

これに対してERG理論では、３つの欲求は同時に存在することもあるとし、また上位から下位への逆行もありえる、と結論しています。これは可逆的なとらえ方です。

また独自の視点として、上位の欲求が満たされなければ下位の欲求が強化される、と説いています。スポーツなどでもっと上手になりたいという成長欲求が満たされなければ、チームメイトと遊んだりして仲間との関係欲求を満たそうとする、と行動するのです。

このように欲求が満たされない場合も想定しているところも、マズローの欲求5段解説との相違点です。