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日本経済の現状(1)

日本経済の現状(1)

 

4月23日に2021年版「中小企業白書」が閣議決定され公表されました。

中小企業庁のHPでは、その特徴を「2021年版白書では、新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」という。)が中小企業・小規模事業者に与えた影響や、この危機を乗り越えるために重要な取組として、事業環境の変化を踏まえた事業の見直し、デジタル化、事業承継・M&Aに関する取組等について、豊富な事例を交えながら調査・分析を行いました。」と紹介しています。

 

本ブログでは、2001年版中小企業白書より、興味深いデータをいくつか紹介していきたいと思います。

まずは日本経済の現状からです。

感染症の世界的な流行に伴う日本のGDPの動向です。実質GDP成長率の推移を見ますと2020年は2019年より4.8%の減少となっています。

次に2020年内の動きでは、第1四半期及び第二四半期はマイナス成長となり、特に第2四半期の落ち込みが前期比8.3%の減少と大きくなっています。この時期は緊急事態宣言が発出されており、それにともなう内需の不振と主要貿易国での経済活動の停止による外需の減少が原因となっています。

しかし、第3四半期では前期比5.3%の増加となっています。この時期はGO TO トラベルが開始された時期であり緊急事態宣言の終了の開放感からか国内需要が増加しました。また第4四半期でも前期比2.8%の増加となっています。

 

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次のデータは、内閣府「消費総合指標」です。

個人消費はGDPの6割を占める大きな分野ですが、4月の緊急事態宣言発出により大幅に落ち込んでいるのが確認できます。緊急事態宣言が段階的に解除された5月からは増加に転じていますが、11月以降、再び減少しています。

 

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企業の生産活動は、経済産業省鉱工業生産指数」で確認することができます。鉱工業生産指数は、2月頃から下降を始め5月に底を向かえます。その後、一転して10月まで上昇を続けますが、11月、12月に一服し、2021年1月に再度上昇かと思えば、2月には下降に転じています。まだまだ予断を許さない状況です。

 

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次のグラフは経済産業省「第3次産業活動指数」です。

第3次産業全体のデータと、第3次産業を広義対個人サービスと広義対事業所サービスに分けて示しています。第3次産業全体では、やはり5月に向けて下降し、その後6月から5か月連続で上昇したものの、11月以降は低下しています。

広義対個人サービスと広義対事業所サービスとに分けた場合、より広義対個人サービスのほうが下落幅が大きいことが見て取れます。またその後の推移にしても広義対事業所サービスのほうが安定しているようです。

 

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これらのデータから緊急事態宣言が日本の経済に与えた影響というのは大きなものであり、特に個人消費を大幅に減少させる要因になったと考えることができます。

 

(図表は2021年版中小企業白書より引用)