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中小企業における優位性と価格決定の関係

中小企業における優位性と価格決定の関係

 

製品やサービスに優位性のある中小企業は、どのように価格を決めているのでしょうか。

2020年版中小企業白書では、価格の決め方を次の3つに分けて分析しています。

①コスト起点型(コストを回収し、一定の利益を確保できる価格に設定する)

②競合起点型(業界平均や競合他社の価格を参考に設定する)

③顧客起点型(顧客に受け入れられる価格に設定する)

それぞれの類のBtoB,BtoCにおける割合を見たグラフです。

 

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toBでもBtoCでもコスト起点型が最も多くなっていますが、BtoCでは顧客起点型が30.6%も存在します。一般的に、産業財よりも消費財のほうが価格の弾力性が高い傾向にあり、この結果は財の特徴が現れていると思われます。

 

次に価格設定の類型別に、優位性がどれくらい価格に反映されているかを確認します。

 

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「コスト起点型」53.8%、「顧客起点型」46.6%、「競合起点型」39.1%の順でした。他の類型に比べて競合起点型が低いのは、優位性が対競合にどれくらい優位であるかの程度に差があるのかも知れません。競合に対して優位性の程度が低ければ、価格設定も競合起点型に成らざるを得ないのかも知れません。

 

 続いて白書では3類型ごとに「顧客への優位性の発信」への取り組み、「価格競争に参加しない意識」、「個々の製品・サービスごとのコスト把握」の実態に関して、アンケート結果を紹介しています。

下表は、その結果をまとめたものです。 

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顧客起点型は、顧客を起点とするが故に他の類型よりも顧客に対して優位性を発信しています。

コスト起点型は、しっかりと利益を確保するため他社が値下げしても価格競争には参加しない意向です。またコストを起点にするにはコストの正確な把握が必要となるため、個々の製品・サービスごとにコスト把握に努めている姿が見えます。

競争起点型は、他の類型よりも価格競争に参加しない意識が低く、他社が値下げすればそれに追随するようです。また競争に打ち勝ち受注することを優先するためなのか、個々の製品・サービスのコストを把握することが疎かになっているようです。

 

2020年版中小企業白書からの統計データの紹介は以上となります。

白書の全文は中小企業庁のホームページで公開されていますので、ご関心をお持ち頂ければご覧になって下さい。

中小企業庁:2020年版「中小企業白書」全文

 

(図表は2020年度版中小企業白書より引用)