フリーミアム
サービスの一部を無料で提供することで集客し、アップグレードなどで課金して収益を確保するビジネスモデル。
【ビジネスモデルの内容】
「フリーミアム」とは、「フリー」と「プレミアム」を合わせた言葉です。まず無料でサービスの一部を提供したり、無料の試用期間を設けて潜在顧客を集めます。次に有料サービスでバージョンアップや制限期間を解除することで収益を図ります。このビジネスモデルが成功するか否かは、無償顧客からどれだけ有償顧客に転換できるか、にかかっています。
【ビジネスモデルの根幹】
最初に集客して、後で儲けるという意味では、レザーブレードに似ています。レザーブレード同様、フリーミアムの根幹にも「購買の障壁除去」があります。
また顧客が使い続けることで継続的に収益を上げることができますので、「慣性の利用」も根幹にああります。
しかしレザーブレードでは、まず安くても本体を購入してもらいますが、フリーミアムは無料で集客するため、どれだけ無料顧客が増えてもコストがかからないようにビジネスを設計しておく必要があります。つまり「変動費の極小化」が必要なのです。更に有料版でも変動費が極小化できていれば、大きな利益を実現できます。
【応用例】
変動費を極小化させるのは、ネットでのコンテンツビジネスが得意としています。開発が済んでいれば、顧客が増えてもコンテンツはデジタルであるため、配信のコストだけしか追加で発生しません。
①オンラインゲーム
ゲームのダウンロードは無料で行えますが、ゲーム内アイテムは有料で購入しなければなりません。
②アプリケーションソフト
無償版では一部の機能が制限されていたり、試用期間が30日等に限定されています。有償版にグレードアップすることで、全機能を使用できるようになったり、永続的に使用できるようになります。またドロップボックスのように情報の保存や取り扱えるデータ量を、無料版よりも大幅に増やすことで有料版に誘導する例もあります。
③広告の除去
You Tubeは、視聴ユーザーは無料で利用できますが、広告で収入を得ているため厳密ににはフリーミアムでないのかも知れません。しかし広告を煩わしく思う視聴ユーザーは有料サービスのYou Tube Premiumに加入することで広告を表示させないことができ、煩わしさから解放されます。
④体験体験
学習塾やスポーツクラブでは、無料体験を設けている例が多いです。サービスは無形で見ることができないため、顧客が事前にその内容を知ることは困難です。従って、まずは無料で体験してもらい、購入への不安を払拭することが有効となります。
【問題点】
このビジネスモデルでの課題として、以下の2点を挙げることができます。
①どうやって有料版に導くか
無料だから集客できるのであり、果たしてどれくらいの無料顧客が有料版にアップグレードしてくれるのかが上手く設計できていないと無料版だけの利用で終わってしまいます。サービスの内容にもよりますが、通常無料顧客に対する優良顧客の割合は、10%にも満たないと言われています。
②どうやって競合へのシフトを防ぐか
レザーブレードでは本体を購入しますので、競合へシフトすれば本体が使えなくなります。本体がスイッチング・コストとなり競合へのシフト防ぐことになるのに対して、フリーミアムではスイッチング・コストになるものがありません。競合がより価値のある有料版の提供を始めれば、そちらにシフトしてしまう事態が生じます。従って、レザーブレードより顧客の囲い込みの効果は薄いと言わざるを得ません。
コンテンツに魅力があれば初期の集客力が絶大となります。ですが実際に利益を上げるためには集客力頼みではなく、しっかりとしたビジネスの設計が求められます。