中小企業における優位性の価格への反映状況(1)
中小企業が差別化戦略、差別化集中戦略を実施するにあたり、差別化の要因として他社と比較した優位性が存在するはずです。
では、その優位性がどこまで販売価格に反映できているのでしょうか。
「できている」が69.9%、「どちらかといえばできている」が50.2%ですから、多くの中小企業において、優位性が価格に反映できていることが確認できます。
価格に反映できているということは、優位性に関する情報発信等に取り組んでいることが想定できます。
その実態は次のグラフで確認できます。
「取り組みをしていない」企業も45.2%ほど存在しますが、「取り組みをしている」企業は51.9%と半数以上であり、優位性を顧客を発信する取り組みは有効である、と言えそうです。
次のグラフは優位性を伝える媒体とその価格への反映の状況です
BtoBでは「従業員による訪問や来店時の直接PR」72.6%と「経営者による営業活動」50.4%が高く、フェイス・トゥ・フェイスの取り組みが主流なのが伺えます。
一方、「展示会やイベントでのPR」46.7%は実物を見せることができるためか価格反映状況で見ると53.4%と高くなっています。またインターネット広告やソーシャルメディアの利用は、それぞれ1割程度にもかかわらず価格への反映状況は5割以上と高い値になっています。これはネットという時間や距離に拘束されず、動画などで臨場感のある情報発信が行る特性が実を結んでいると思われます。
次のグラフのBtoCでは、どのような取り組みが行われているのでしょうか。
BtoCでも「従業員による訪問や来店時の直接PR」に取り組んでいる企業が一番多く58.0%となっています。2番目は「自社HP」であり50.8%となっています。
しかし、価格への反映状況を見ると「インターネット広告」が63.8%、「展示会やイベントでのPR」が61.5%と高い値を示しています。
BtoBにしてもBtoCにしても、価格への反映状況を把握したうえで、優位性を伝えるメディアの選択と活用が求められています。
(図表は2020年度版中小企業白書より引用)