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リスクへの対応 

リスクへの対応

 

 2020年は感染症という大きなリスクが日本経済を襲いました。近年、感染症以外にも台風や地震など自然災害が、日本の企業の存続に影響を与えています。このようなリスクに中小企業はどのように対応しているのでしょうか。

まずは、近年、中小企業の経営に影響を与えた自然災害を確認します。

 

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では企業はこのような自然災害のリスクに対して、どのように対応しているのでしょうか。

 次のグラフは企業規模別に見た自然災害への対応状況です。大企業では「十分に対応を進めている」と「ある程度対応を進めている」を合わせると50%を超えています。一方、中小企業では30%を超えている程度です。中小企業では自然災害への対応が不十分であることが伺えます。

 

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 しかしここ近年、サプライチェーンが複雑化し、自然災害が発生した時の影響が大きくなっています。たとえ一地方での災害であっても、その影響が全国に及ぶこともあります。そこで中小企業の自然災害への対応を時系列で観察します。

2019年では「十分に対応を進めている」が0.6%、「ある程度対応を進めている」が23.0%であるのに対して、2020年では「十分に対応を進めている」が1.5%、「ある程度進めている」が31.5%と増えていることが確認できます。

 この傾向が今後も続いていくことが望まれます。

 

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 では、中小企業はどんな自然災害を脅威と感じているのでしょうか。

 次のグラフは、中小企業が最も警戒する自然について聞いたものです。最も警戒されている自然災害は、「地震」が53.8%と一番多く。次いで「水害(洪水、豪雨など)」が19.9%、「風害(台風、ダウンバーストや竜巻など)」が9.3%となっております。

前述のリストにもありますように地震や台風など、一旦、発生すれば広範囲に影響を与える災害が脅威となっていることが分かります。

 

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「企業防災」という言葉があります。企業の防災への取り組みを意味しますが、具体的にどんな防災を行っているのでしょうか。

次のグラフを見ますと、「社内連絡網の整備」が58.3%、「非常時向けの備品の購入」が42.1%、「飲料水、非常食などの備蓄」が38.7%と災害発生時に必要となる情報や物資に対する準備がなされていることが分かります。

一方、白書では「非常時の社内対応体制の整備・ルール化」や「事業継続資金の確保」などの割合が高くないことから、災害後に事業を継続するための備えが十分でない可能性がある、と指摘しています。

災害が発生した場合、事業継続にどれだけの影響があるのか想定することが難しいことがその原因でしょう。
 

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自然災害は発生しないことがなによりですが、いつか必ず発生します。そのつもりで普段から準備しておくことが求められています。


(図表は2021年版中小企業白書より引用)