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事業継続計画(BCP)への取組

事業継続計画(BCP)への取組

 

企業を取り巻くリスクは感染症だけではありません。むしろ大雨や地震などの自然災害の方が頻発しています。下の表は2021年に災害救助法の適用を受けた災害をまとめたものです。激甚災害の指定を受けたものが4件あります。

 

たとえ自然災害や感染症の流行等が発生したとしても、継続的に事業を行うことが必要となります。そのための計画を事業継続計画(BCP)と呼びます。BCPには不測の事態が生じても事業を継続させる、あるいは中断しても早期に復旧させるための方針や体制、手順などが定められます。しかし、大企業ならばBCPに取り組む人員やノウハウもあるでしょうが、中小企業では難しいのではないでしょうか。

下のグラフによって、中小企業におけるBCPの策定状況の推移を確認することができます。

 

徐々に策定している企業が増えているものの半数以上の企業が「策定していない」「分からない」と回答しています。やはりまだまだ中小企業の間ではBCPの策定が浸透してないようです。

とはいえ中小企業も自社を取り巻くリスクを認識していない訳ではありません。それは下のグラフからも確認できます。

 

 

中小企業が事業の継続が困難になると捉えているリスクで一番多いのは「自然災害」で69.3%もあります。次が「感染症」が60%となっています。この二つが他の要因よりもリスクと認識している企業が多いことが分かります。

リスクは認識しているがBCPの策定には至らない中小企業。そこにはどのような理由があるのでしょうか。

 

 

「策定に必要なスキル・ノウハウがない」との回答が41.7%、「書類作りでおわってしまい、実践的に使える計画にすることが難しい」との回答が28.0%もありBCP策定自体の困難さを感じさせます。一方、「必要性を感じない」との回答が20.7%もあります。企業規模や業種によってBCPに対する認識が異なるのでしょうか。

 

中小企業がBCP策定に取り組めるように経済産業省では「事業継続力強化計画」認定制度を行っています。「事業継続力強化計画」とは、目標、ハザードマップなどを活用した自然災害などにおけるリスクの確認の結果から、安否確認などの初動対応手順、ヒト・モノ・カネ・情報を守るための事前対策、実効性の確保に向けた取組などを定めた計画です。A4用紙4枚程度と中小企業でも取り組みやすい計画作りとなっており、2012 年12 月末日時点で累計3万6千件を超える計画が認定されています。

認定を受けた中小企業は低利融資、信用保証枠の拡大等の金融支援、防災・減災設備に対する税制措置などの支援策を受けることができます。

 

 

(図表は2022年版中小企業白書より引用)